70歳以上経営者の約半分(127万人)が後継者未定。(平成28年度総務省「個人企業経済調査」、平成 28年度(株)帝国データバンクの企業概要ファイルから推計)
後継者未定の理由の77.3%は、後継者不在。
残りの22.7%は、後継者候補がいるものの、承継を拒否。その6割が個人保証が理由です。
経営者保証の今までの取り組み
2014年2月に「経営者保証に関するガイドライン」を施行
経営者保証に関するガイドラインは、経営者の個人保証について、
(1)法人と個人が明確に分離されている場合などに、経営者の個人保証を求めないこと
(2)多額の個人保証を行っていても、早期に事業再生や廃業を決断した際に一定の生活費等(従来の自由財産99万円に加え、年齢等に応じて約100~360万円)を残すことや、「華美でない」自宅に住み続けられることなどを検討すること
(3)保証債務の履行時に返済しきれない債務残額は原則として免除すること
などを定めることにより、経営者保証の弊害を解消し、経営者による思い切った事業展開や、早期事業再生等を応援します。
第三者保証人についても、上記(2),(3)については経営者本人と同様の取扱となります。
この施策により、経営者保証のない新規融資は徐々に増加してきました。
しかしながら、融資全体の86.7%は、経営者保証つきが現状です。(平成29年度中小機構アンケート:有効回答9,970)
事業承継税制により、相続税・贈与税の負担ゼロ
2018年:法人向け事業承継税制拡充【(拡充前11年間で)2,500件⇒(拡充後1年間で)2,900件】
2027年までの特例措置
2019年:個人向け事業承継税制創設
2028年までの特例措置
残る課題は、個人保証
70歳以上経営者の約半分(127万人)が後継者未定。(平成28年度総務省「個人企業経済調査」、平成 28年度(株)帝国データバンクの企業概要ファイルから推計)
後継者未定の理由の77.3%は、後継者不在。
残りの22.7%は、後継者候補がいるものの、承継を拒否。その6割が個人保証が理由です。
事業承継時の経営者保証解除に向けた総合的な対策(2020年〜)
政府関係機関が関わる融資の無保証化拡大
商工中金は、一定の条件を満たす企業に対して「原則無保証化」【令和2年1月開始】
• 「経営者保証ガイドライン」の徹底により、年間約3万件の融資について、原則無保証とする 運用を開始済。
• 一定の条件を満たす企業に対して「原則無保証化」することで、現在35%の無保証割合が、 大幅に増加することを見込む。
事業承継時に経営者保証を不要とする新たな信用保証制度の創設【令和2年4月から開始】
事業承継特別保証制度
次の(1)かつ(2)に該当する中小企業者が対象
(1)3年以内に事業承継(=代表者交代等)を予定する「事業承継計画」(※)を有する法人 又は令和2年1月1日から令和7年3月31日までに事業承継を実施した法人であって、承継日から3年を経過していないもの ※信用保証協会所定の書式による計画書が必要
(2)次の1から4の全ての要件を満たすこと
1. 資産超過であること
2. 返済緩和中ではないこと
3. EBITDA有利子負債倍率((借入金・社債-現預金)÷(営業利益+減価償却費))10倍以内
4. 法人と経営者の分離がなされていること
金融機関の取組を「見える化」し、融資慣行改革へ
事業承継に焦点を当てた「経営者保証ガイドライン」の特則策定・施行【令和元年12月策定・公表、令和2年4月運用開始】
・新旧経営者からの二重徴求の原則禁止
・後継者の経営者保証は、事業承継の阻害要因となることを考慮し、慎重に判断。
・前経営者の経営者保証は、令和2年4月から改正民法で第三者保証の利用が 制限されること等を踏まえて見直し。
経営者保証解除に向けた、専門家による中小企業支援等【令和2年4月から開始】
・経営者保証の解除を目指す中小企業に対して、専門家が3段階の支援を実施。
・各都道府県に「経営者保証コーディネーター」として専門家を新たに 配置するとともに、既存支援策をフル活用。
金融機関の経営者保証なし融資の実績等(KPI)の公表
この記事は、経済産業省・中小企業庁「事業承継時の経営者保証解除に向けた総合的な対策について」をもとに、まとめました。
https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/hosyoukaijo/2020/200204kaijo02.pdf