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意図的戦略と創発的戦略の違い 「戦略を持たない戦略」で生き残りを図る?

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コロナ時代にどのような生き残り戦略を取るのか? 業種転換や経営の多角化、ダウンサイジング、事業承継・M&Aなどさまざまな選択肢がある中で、経営者はどのように決断すれば良いのでしょうか。意図的戦略と創発的戦略の違いや、どちらが自社に合っているのかなど、今回は経営に欠かせない「戦略」についてのお話です。

意図的戦略と創発的戦略とは その違いは?

“戦略”と付く言葉は数多ありますが、今回はその中でも「意図的戦略」と「創発的戦略」についてご紹介します。

「意図的戦略」と「創発的戦略」の違いについては、小倉研太氏がnoteにわかりやすくまとめてくれています。

意図的戦略とは、前もって予見し、計画的に追求できる機会を中心とした計画のこと。つまり、企業でよくある中長期の事業計画や、新規事業計画など、事前に計画し推進される戦略のことです。

創発的戦略とは、予期されない機会、意図的な計画を実行しているなかで発生する問題や機会に対処する中で、形成される戦略のこと。つまり、当初の事業計画を進めるなかで、思ったように進まず、適宜調整していくなかできていく最初に立てたものと異なる戦略のことです。

【1日1冊】意図的戦略と創発的戦略、発見志向計画法 / イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ(著)クレイトン・クリステンセン|小倉 研太 / プロマネ x フルリモート note

計画的か、計画を進める中で予期せぬ事態に対処した結果形成されたものかという違いですね。ここで重要なのは、「創発的戦略」は、無計画な戦略というわけではないということです。創発的戦略の事例として、ホンダのアメリカ・オートバイ市場への進出について触れられています。

ホンダ 米国オートバイク市場への失敗からの成功

本書では、「1960年代にホンダがアメリカのオートバイク市場へ進出し成功した事例」を紹介されています。

ホンダは、アメリカのオートバイ市場に進出します。

当時アメリカのオートバイ市場は、「ハーレーダビッドソン」などのアメリカのオートバイブランド、そして、ヨーロッパの輸入車がシェアをもっていました。

ホンダの戦略は、「大型バイク」を格安で販売することで、オートバイ市場のシェア10%を奪うというものでした。しかし、ホンダの「大型バイク」は、品質やサポートの問題があり、売上は雀の涙ほどでした。

ところが、現地ホンダの社員が気晴らしに丘で小型バイクの「スーパーカブ」利用するのを見たアメリカ人が小型バイクを欲しがります。当初は売り物でなかったスーパーカブですが、根負けして日本から取り寄せるようになり、意図しない形で販売を開始することになりました。

その後、当初の大型バイク事業戦略が立ち行かなくなるなか、意図せずスタートした小型バイク事業は、「大型バイク」市場とはまったく異なる「オフロードバイク」という市場を生み出し、新しい戦略として成功を収めていきます。

予期しない「創発的戦略」に集中する

クリステンセン氏は、仕事や人生においても「衛生要因」と「動機づけ要因」のどちらも満たしている仕事や何か取り組むべきことがあれば、「意図的戦略」を達成することに集中するべきだとあります。(衛生要因・動機づけ要因については、前回の記事をご参照ください)

しかし、そうでない場合は、色んなことを試しながら、自分の能力と関心を知ることからはじめ、「創発的戦略」で達成することに集中するべきだとあります。

いま、自分が満足する仕事、人生においての取り組むことが見つけられていないなら、まずは外にでて多くのことに取り組み続け、「創発的戦略」を築くことが大切です。

【1日1冊】意図的戦略と創発的戦略、発見志向計画法 / イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ(著)クレイトン・クリステンセン|小倉 研太 / プロマネ x フルリモート note

気晴らしにスーパーカブに乗っていたことがオフロードバイク市場を生み出したというエピソードは、とても興味深いですね。本来の戦略とは別の形で成功を収めていくというのは、決して稀なケースではないでしょう。

「戦略を持たない戦略」エマージェント・ストラテジーとは

「創発的戦略」の語源は、「エマージェント・ストラテジー」であると言います。意訳すると、“戦略を持たない戦略”。エマージェント・ストラテジーについては、イズミリョウ氏がnoteで考察されています。

エマージェント・ストラテジーとは

授業の中で経営戦略に関する話題になったところで出てきた言葉です。

(この授業自体は別のタイトルがついていて、経営戦略論はまた別のクラスがあります)

英語で書くと

emergent strategy

緊急時戦略とかそういう風に訳すのでしょうか。

emergent situation だと緊急事態だそうで。

たぶん緊急時戦略とかでいいんでしょう。

授業の中では、それをことさらに取り上げて教材にしたという感じではなくて

雑談の延長で、これからの時代は

そして個人としての生き方や大学院生としての未来戦略を考える上でも

このエマージェント・ストラテジーな姿勢が重要ですよというニュアンスの話でした。

「戦略を持たない戦略」であると、教授は説明しておられました。

なので何事もチャンスととらえて行動することの大切さや。

出会いがしらのできごとを活用すること。

古い生き方に凝り固まることのないように。

といった話をされていて。

僕なんかより全然年上の(30歳近くうえのはず)人であっても、クリエイティブで活動的に生きるうえでは大切な思考よねと思ったり。

こういう思考をしているから、若々しく活動できなのかなとも思いましたが。

なんしか、「エマージェントストラテジー」というキーワードをきっかけにして語られた言葉には共感する部分が多かったです。

よくある大きな法人でも年間計画や5か年戦略とか立てたり、

ぼく個人としても将来設計のために年表書いたり未来ビジョンを描いたり、

そういうことをしてきていますし、それなりに価値はあると思っていますが。

ここで言われているのは、あまり戦略を決めずにとにかく行動し続けること。

行動した先にどんどん変化していくので、またそこに対応していき結果大きな成長に、という話。

ペーパー上でいくら戦略を立てたところで、必ず現実とぶつかって変更せざるを得ないので。臨機応変に軌道修正していくこと。

そういう随時変更していく戦略というニュアンスがエマージェントには含まれているのかしらね。

チャンスを出会いがしらで利用できる俯瞰した視点、決断力、そのための安定性などが必要ということなのかなと考えました。

ミンツバーグ・創発的戦略

このエマージェントストラテジー。

調べて行くと、日本語では創発的戦略と訳されているそうですが。

もとはカナダのマギル大学教授、ヘンリーミンツバーグ先生の論文からの引用だそうです。

ミンツバーグさんはこの創発的戦略の場面において、リーダーとして求められる役割としては、

計画をしっかり立案する、戦略を練り上げる能力ではなく

新しい戦略が出現するように、チームをマネジメントし学習し経験し変化する組織を作っていくこと

だと言っているそうです。

創発的戦略/エマージェントストラテジー|イズミリョウ@フリーランスSW note

きっちりと計画を作り過ぎると、それに固執してしまい盲目になるリスクがあります。目の前を大きなチャンスが通り過ぎてしまうかもしれません。どんなときも柔軟性や広い視野は必要ですね。

私も事業をしていた頃、毎日のように損益計算書や予実管理表を更新しては一喜一憂していました。計画どおりにいくこともありましたが、予期せぬことの方が多いのが経営の現実ではないでしょうか。データを更新することが日課になり、仕事のための仕事をしている気分でした。もちろん、予実管理もとても大切な仕事ではありますが、視野が狭くなっていたと今では思います。

本当に到達したいゴールは何かを問い直す機会

エマージェント・ストラテジーについては、多くの議論がされています。慶應義塾大学総合政策学部准教授の琴坂将広氏と、ITエバンジェリストの尾原和啓氏は、東洋経済オンラインの対談で以下のように話しています。

これからの時代、経営戦略は不要になるのか?

尾原:ところで最近、戦略を決めずにとにかく逃げ続けると、逃げた先のほうがどんどん変化していくので、そこに対応していくと、結果的に勝つという「エマージェント・ストラテジー」のような話があります。それから、あえて戦略を考えずに、自分の手のひらの中にあるいちばんの強みから始めて、許容できる範囲内で失敗しまくると、何らかの連鎖が起こり始めるので、それを楽しめばいいという「エフェクチュエーション」という考え方もあります。こうしたものについては、どうお考えですか。

琴坂:こうしたアプローチがそもそも登場した経緯はというと、まず、アドバンテージは持続しないという議論がありました。その後に、ケイパビリティですら絶えず変質するという話になり、そこから、ストラテジーを決めること自体に意味がないとなったのです。そこで、エフェクチュエーションの立場をとる人たちが「とりあえず頑張ってやるしかない」となり、さらに出てきたのが、組織論の概念を応用して、その試行錯誤のプロセスの場を設定するのがいいという議論でした。

私が仲間の研究者と探究しているのは、そのエフェクチュエーションと表現された何らかの連鎖をどのようにすれば人為的に操作できるかという議論です。伝統的な経営管理の方法論は役に立ちません。しかし、創発性を担保しつつも、しかし一定の方向に組織内の個人の意思決定の方向性を無意識レベルから誘導することはできるはずです。これはまさに、経営戦略の研究の最先端であると思いますし、私自身も注力している領域です。

尾原:エフェクチュエーションについて僕がいいと思うのは、変化する状況の中では、ゴールも変化するし、それ以上にミーニング(意味合い)が変化するという言い方をしているところです。

ミーニングはミッションに近い話で、自分がそのビジネスをするのはお金のためなのか。そうではなく、人生の中で自分が役に立っていることなのか。自分なりの意味合いを感じられればいいのだと。そこで戦略を決めずに、ビジネスをどんどんアップデートしていくと、自分のミーニングもアップデートされて、結果的に自分が本当に行きたい地点に到達すれば、そこでOKだと考えるのです。

「戦略を持たない」戦略に現実味がある理由|東洋経済オンライン

今回のコロナショックもそうですが、世界や社会の状況は常に変化しています。状況が変化すれば、ゴールやミーニング(意味合い)=ミッションが変化するのも当然のこと。コロナショックは、本当に到達したいゴールや成し遂げたいミッションを自身に問い直す良い機会になっているのかもしれません。

また、人生100年時代の到来と言われているように、人生の時間が長くなるのであれば、ゴールやミッションは達成したり終わりがあるものではなく、永続するものなのかもしれません。「成る」よりも、どう「在り続けるか」の方が重要かもしれませんね。

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