コロナ禍でも業績をアップさせ続けた企業は、何をやっていたか?
『「顧客消滅」時代のマーケティング』(小阪裕司著・PHP研究所刊)

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「ワクワク系マーケティング」って、ご存じですか?

あらゆるビジネスにおける〝集客〟に絶大な効果を発揮する「感性と行動の科学」をもとにしたビジネス理論と実践手法です。

「モノが売れない」「お客様が来ない」……。

多くの経営者がそんな悩みを抱える中、小阪氏のワクワク系マーケティング実践会会員企業のなかには、どんな過酷な条件下においても業績を伸ばし続ける企業が続出しています。

今回は今年3月に発売された小阪氏の著書『「顧客消滅」時代のマーケティング』をご紹介します。厳しい時代における経営のヒントが満載の一冊です。

小阪裕司(こさか・ゆうじ)

オラクルひと・しくみ研究所代表。博士(情報学)。九州大学非常勤講師、日本感性工学会理事。

山口大学人文学部卒業(専攻は美学)。1992年オラクルひと・しくみ研究所を設立。2000年からその独自のマーケティング手法を実践する企業の会であるワクワク系マーケティング実践会を主宰。現在、全都道府県・海外から約1500社が参加。約20年に渡る活動で、1万件以上の成果実例を生み出している。近年は研究にも注力し、2011年工学院大学大学院博士後期課程修了、博士(情報学)の学位を取得。学術研究と現場実践を合わせ持った独自の活動は多方面から高い評価を得、産官学にまたがり、年間数多くの講演・講義も行う。2017年からは、この理論と実践手法を全国の企業に広める事業が経済産業省の認定を受けている。

『日経MJ』紙に14年に渡りコラム「招客招福の法則」を連載した他、著書は『「買いたい! 」のスイッチを押す方法』(角川書店)、『「感性」のマーケティング』(PHP研究所)、『価値創造の思考法』(東洋経済新報社)など多数。

顧客があなたを「選別」している

『「顧客消滅」時代』という言葉から私たちが真っ先に連想するのは、やはり「コロナショック」でしょう。

 緊急事態宣言、自粛要請によって人の動きが止まってしまった2020年。観光業、飲食業はもちろんのこと、リアルに顧客と接するサービス業は、ほとんどの企業が大打撃を受けました。

日本の経済を回していたものは「人の動き」。人の動きが止まってしまったことで経済が低迷してしまったことが、その証です。

そして、コロナショックで離れてしまった顧客は……もう元の通りには戻ってきません。

 小阪氏は、顧客はコロナ禍の中、「選別」を行っていたのではないか、といいます。

 いままで惰性で行っていたお店に行けなくなった、普段買っていた商品が買えなくなった、利用していたリアルのサービスを利用できなくなった、参加していたイベント等に行けなくなった。そんな中で顧客は「別にあの店に行く必要はない」「あの商品は買わなくてもいい」「あのサービスはなくてもあまり困らない」と考え、購買をやめるという選択を行い、その結果「いつまで経っても顧客が戻らない」という状況になっているというわけです。

ネットショッピングが普及している今、多くの業態での「〝リアル〟の存在意義」が問われているのではないでしょうか。

 私は以前から、今は「選別消費」が進んでいる時代だと主張してきた。選別消費とは、「自分がコスト(お金、時間、労力など)をかけるもの。使うべき先をシビアに選択・選別する消費」のこと。元々、増税や災害などの際には、この消費選別の意識が高くなるのだが、今回はまさに、コロナによってこの選別消費の意識が大いに高まった。(『「顧客消滅」時代のマーケティング』より)

こんな時代にもかかわらず売上を伸ばす企業

 また小阪氏は、現在が「心の時代」に向かっている時であり、そんな時代には、それを手に入れることで〝心が豊かになる=人がより良く生きるためのエネルギーチャージになるもの〟が売れるといいます。一方、どうしても買わなくてはならないものである生活必需品は、コストパフォーマンスが重視される。「心が豊かになるわけではないが、生活必需品でもない」……そんな〝中途半端な〟商品、サービスが、コロナ禍で売上が戻らなかったものだったのではないか、ということなのです。

 人口減少時代に入り、確実に人が減っていく未来。小阪氏は今起きていることは、コロナショックによって一気に到来した「未来の前倒し」だといいます。

ただ……本書の素晴らしさはこうした現状の分析だけにあるわけではありません。

〝こんな時代にもかかわらず〟売上をアップし続けるワクワク系マーケティング企業の豊富な事例と、その成功の秘密を紹介しているのです。

・ワクワクが止まらない田園地帯のスーパーマーケット

・2020年4月の営業自粛下に前年比150%を達成した高級レストラン

・「深夜営業NG」でも売上を維持したバー

・「忙しくて休む暇もない」墓石店

・人口8万人の街で1万人のファンを持つハンバーグ店

 まだまだこれはほんの一部。

 こうした企業の成功の秘密に共通するのが、「顧客との関係性」です。

 顧客とどんな関係を築けばいいのか? そしてどうすればその関係を築くことができるのか?……これを伝えてくれるところが、ワクワク系マーケティングの、そして「ヒトの研究者」としてついに博士号まで取得した小阪裕司の真骨頂といえるでしょう。

「顧客がいない」? ならば「顧客を作ればいい」。

 そんな勇気と、そのための計画がふつふつと湧き上がる一冊です。

 次回は、当協会代表理事の大坪勇二による小阪氏へのインタビューをお送りいたします!

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