スモールM&A 成功事例と失敗事例【中小M&A ガイドライン 参考事例】

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中小 M&A は、親族内にも社内にも後継者不在の中小企業が、社外の第三者による事業承継のために M&A の手法を用いるものであり、大企業を対象とする M&A とは異なる点 があります。
 
この記事では、経済産業省中小企業庁が策定した「中小 M&Aガイドライン」の参考資料で紹介している事例について、まとめます。
 
社員の雇用とお客様を守りたいと考える経営者の選択肢の一つとして、参考になりますように。

  1. 小規模企業・個人事業主において中小M&Aが成立した事例
    1. 小規模企業において成立した事例
    2. 個人事業主において成立した事例
    3. 家業的経営(家族経営)である中小企業において成立した事例
    4. M&Aプラットフォームを利用してマッチングが実現し、成立した事例
    5. フランチャイズ(FC)店において成立した事例
  2. 経営状況が良好でない中小企業において中小M&Aが成立した事例
    1. 赤字であるにもかかわらず成立した事例
    2. 債務超過であるにもかかわらず成立した事例
  3. 親族内承継の頓挫から中小M&Aに移行し成立した事例
    1. 後継者候補が承継を拒んだため中小 M&A に移行し成立した事例
  4. 意思決定のタイミングが中小M&Aの成立内容に影響を与えた事例
    1. 適切なタイミングで中小 M&A を決断していれば、より好条件で譲り渡せた事例
  5. 譲り渡し側の条件の明確化が中小M&Aの成立に寄与した事例
    1. 譲り渡し側経営者の希望通り、従業員の雇用が引き継がれることを条件として成立した事例
    2. 譲り渡し側経営者が中小 M&A の成立後にも一定期間経営に関与することを条件として成立した事例
  6. 従業員の反対にもかかわらず成立した事例
    1. 中小 M&A に反対していた従業員の理解を得た上で成立した事例
  7. 廃業を予定していたものの中小M&Aが成立した事例
    1. 事業の一部を中小M&Aにより譲渡し、廃業費用を捻出した事例
    2. 廃業を考えていたものの、支援機関から中小 M&A を提案されたことを機に中小M&A に挑み、成立した事例
  8. 中小M&Aが成立しなかった事例
    1. 中小 M&A 着手が遅れたため、資金繰りが尽きてしまい、中小 M&A が不成立に 終わり廃業した事例
    2. 社外へ情報が漏れたことに伴い、中小M&Aが不成立になった事例
    3. オーナー一族間の不和、コミュニケーション不足により、中小 M&A が不成立になった事例
    4. 譲り渡し側が不誠実であったため中小M&Aが成立しなかった事例

小規模企業・個人事業主において中小M&Aが成立した事例

小規模企業において成立した事例

中小M&Aの経緯
意思決定に至るまでの経緯

10年前に先代経営者の他界に伴い、当時既に65歳を超えていた佐伯友彦 (仮)が A 社の社長に就任した。その後、業績は伸び悩み従業員の高齢化も進んだため廃業を検討したが、取引先に迷惑を掛けられないと、事業の継続を決断した。

地元信用金庫に相談をしたところ、M&A の公的機関として事業引継ぎ支援センターを紹介された。佐伯は自社の事業規模や財務状況から M&A は難しいと考えていたが、同センターでの相談は無料と聞いたため、取りあえず相談した。

成立に至った経緯

佐伯の予想に反し、事業引継ぎ支援センターから4社の紹介を受け、うち2社と面談し、A 社の技術力や商圏を高く評価した B 社への事業譲渡実行に至った。

成立に至った後の経緯

A 社の製品は熟練の技術が必要であるため、A 社の従業員は引き続き雇用され、また取引先との関係から佐伯は顧問として B 社の事業拡大に貢献している。

個人事業主において成立した事例

中小M&Aの経緯
意思決定に至るまでの経緯

田中は、靴の小売店を営む72歳の個人事業主で引退したいと考えていたが、 親族に継ぐ者はおらず自分の代で廃業せざるを得ないのかと悩んでいた。

懇意にしていた商工会の経営指導員より、事業承継の個別説明会を案内され、そこで、個人事業主でも、M&A で事業を譲り渡した例が多くあるという話を聞いた。

自分が育てた事業を、意欲のある人に引き継いでもらえるならありがたいと感 じ、M&A を決意し、事業引継ぎ支援センターにて譲り受け相手を探すこととなった。

成立に至った経緯

田中は、同センターから靴店の創業を希望する佐藤を紹介され、意気投合した。

なお、代金について、佐藤の自己資金が不足していたことから、複数の金融機関 が協調融資を実施し、更に同センターは弁護士を紹介し契約のサポートをする等、 支援機関が一丸となった支援が行われ、事業譲渡実行に至った。

成立に至った後の経緯

事業譲渡実行後、佐藤は事業承継補助金の交付を受け、新たなチャレンジを行う等、精力的な事業拡大に乗り出した。また、田中も引き続き従業員として、佐藤を支えている。

家業的経営(家族経営)である中小企業において成立した事例

中小M&Aの経緯
意思決定に至るまでの経緯

地元で寿司・懐石料理店を営む宇田川大輔(仮)は、多数の地元常連客に愛されていたが、厨房設備等が老朽化したことに伴い、設備の更新を検討していた。

しかし、多額の費用を要することが分かり、自身の年齢から多額の借入を負うことに抵抗があり、また家族からも反対されたことから、廃業を考えていた。

お店の常連でもあった地元信用金庫の担当者に相談したところ、飲食業への参入を検討していた B 社をスポンサーとして紹介された。

成立に至った経緯

家族経営を行ってきた宇田川は、当初は第三者がスポンサーとなることに抵抗 があったが、B 社社長の加藤裕三(仮)と面談を重ねる中で、信頼関係を構築した。

宇田川は家族経営の維持を条件に、B 社から資金援助を受けるのと引換えに飲食店経営のノウハウを B 社に提供するという業務提携の合意に至った。

成立に至った後の経緯

A 社は、宇田川の希望通り、家族経営を継続したまま、B 社からの支援により、 老朽化した店舗設備を更新し、内装等も新装することができた。
また、B 社と協働してグルメサイト等による PR を行った結果、新規顧客やインバウンド需要による外国人観光客の獲得にも成功している。

M&Aプラットフォームを利用してマッチングが実現し、成立した事例

中小M&Aの経緯
意思決定に至るまでの経緯

地域の小・中・高校生が通う個別指導学習塾を経営していた小山克彦(仮)は年齢や持病等により、自身で塾を継続していくことに限界を感じ、廃業を検討。

塾の生徒や保護者から塾の存続を望む声が多く、廃業以外の道を顧問税理士に相談したところ M&A の可能性を示唆された。

成立に至った経緯

顧問税理士から紹介された M&A 専門業者とはコスト面で折り合いがつかず、低コストで事業の承継者を探すことができる方法を探していたところ、インターネット上で候補者を探せるマッチングサイトである、M&A プラットフォームの存在を知った。

M&A プラットフォーム上で複数の候補者から打診を受け、その中で、塾講師の経験があり、学習塾経営の創業希望者であった30代男性会社員の三宅と出会い、 基本合意に至った。

小山は、三宅の人柄や能力があれば、塾の子供達を安心して任せることができ ると考え、事業譲渡実行に至った。

成立に至った後の経緯

M&A プラットフォームを利用したことにより、低コストで中小 M&A が実現した。

小山は現在、塾経営の経験がない三宅をサポートし、子供達の成長を見守りながら、地域のボランティアに参加するなど充実したセカンドライフを送っている。

フランチャイズ(FC)店において成立した事例

中小M&Aの経緯
意思決定に至るまでの経緯

野原は、コンビニエンスストアを20年間個人事業主として運営していたが、体調不良もあり、引退を決意した。

一方、従業員の雇用は継続したいと考え思案していたところ、事業引継ぎ支援センターからのダイレクトメール(DM)が届いたのをきっかけに、相談を決意した。

成立に至った経緯

野原は、従業員をリードしてくれる経営者を希望しており、事業引継ぎ支援センターの「後継者人材バンク」を利用することとなった。

複数の譲り受け側候補の紹介があったものの、最終的には現在別会社で管理職として辣腕を振るっている同地域在住の60代の山田への事業譲渡を決めた。

山田にとっても定年退職後の起業を考えていた絶好のタイミングであり、約1か 月でのスピード成約となった。

FC 本部にとっても事業継続は歓迎であったことも成約の後押しとなった。

成立に至った後の経緯

野原は、長年の事業の負担から解放され、肩の荷を下ろすことができ、体調も快方に向かった。野原の熱のこもった現場指揮の結果、離職した従業員もおらず、引き続き同地区で親しまれ続けている。

経営状況が良好でない中小企業において中小M&Aが成立した事例

赤字であるにもかかわらず成立した事例

中小M&Aの経緯
意思決定に至るまでの経緯

A 社代表者である斉藤勇(仮)は、裸一貫でホテル事業を立ち上げ、丁寧かつ時 流をとらえたサービスが評判を呼び、業界でも有名な経営者となった。しかし、近年は競合他社が増えたこともあり、客足が徐々に遠のき始め、最近3期は経常損失を計上していた。また、後継者候補であった一人息子は病気で亡くなっていた。

75歳となった斉藤は、まだ自分の体が動くうちに中小 M&A により事業を残したいと考え、顧問税理士に相談した。

成立に至った経緯

顧問税理士から紹介された M&A 専門業者が業界内に太いパイプを有していたため、約2か月で B 社とのマッチングが成立した。B 社は、A 社の知名度だけでな く、丁寧なサービス、教育体制と人材の質を評価した。斉藤も「自分の会社を評価し てもらえた」と喜んだ。斉藤は、A 社の全株式を B 社に譲渡し、A 社から引退した。

成立に至った後の経緯

斉藤は、株式の対価である譲渡代金と退職慰労金を受け取り、老後資金として十分な額を確保することができた。引退後は、悠々自適な日々を過ごしている。

債務超過であるにもかかわらず成立した事例

中小M&Aの経緯
意思決定に至るまでの経緯

A 社代表者である鈴木智子(仮)は、創業者である父から A 社の経営を引き継ぎ、2代目経営者として A 社を運営していた。しかし、父の代に金融機関から借り入 れた金額が合計約20億円あり、既に大幅な債務超過となっていた。

金融機関への返済で資金繰りが圧迫され、新規投資する余力もなく、このままでは近いうちに破綻すると考えた鈴木は、知人の弁護士に事業再生の相談をした。

成立に至った経緯

鈴木は、弁護士に委任して中小企業再生支援協議会の手続を活用するととも に、当該弁護士の紹介した M&A 専門業者に譲り受け側(スポンサー)探索を依頼し、これによりスポンサー1社が確定した。当該スポンサーは、A 社の販路や地域における知名度を高く評価し、A 社の全事業を事業譲渡の手法により譲り受けた。

鈴木は、A 社の金融機関からの借入についての個人保証(経営者保証)があったが、「経営者保証に関するガイドライン」により経営者保証を外して当面の生活費 と(華美でない)自宅を残すことができた。

成立に至った後の経緯

鈴木は、破産を回避できたことに安堵した。今は、自分が本当にやりたかったけれども父に反対されて実現できなかったビジネスの立ち上げを目指している。

親族内承継の頓挫から中小M&Aに移行し成立した事例

後継者候補が承継を拒んだため中小 M&A に移行し成立した事例

中小M&Aの経緯
意思決定に至るまでの経緯

A 社代表者である北澤淳二(仮)は、創業者である父から引き継ぎ、2代目として A 社を経営していた。北澤は自身が65歳を超えたこともあり、事業の承継を考え、明確に意思確認はしていなかったが、同業他社で修行をしていた長男を後継者として迎え入れようとした。しかしながら、A 社の経営状況がよくないこと等から、長男 は経営者保証に対する不安等を抱き、継ぐつもりがないことを北澤に伝えた。

経営を委ねられる従業員はおらず廃業も考えていたところ、事業引継ぎ支援セン ターからのダイレクトメールで M&A による事業継続という方法があることを知った。

成立に至った経緯

A 社のベテランの職人の技術力が評判であったため、同センターにより2か月で同業者 B 社とのマッチングが実現し、北澤は A 社の全株式を譲渡した。

成立に至った後の経緯

B 社は人手不足の中、A 社のベテラン従業員を採用することができ、職人の育成及び事業拡大を図ることができた。北澤も顧問として職人の育成に寄与している。

意思決定のタイミングが中小M&Aの成立内容に影響を与えた事例

適切なタイミングで中小 M&A を決断していれば、より好条件で譲り渡せた事例

中小M&Aの経緯
意思決定に至るまでの経緯

A社は創業者・会長の竹橋清(仮)が90歳と高齢ながらまだ実権を握っており、 その婿養子・現社長の上原雄太(仮)に発言権はなかった。A 社の取扱商品や販売 方法は時代遅れで徐々に売上が減少し、遂に2期連続で経常赤字に陥った。

上原の経営意欲は低下しつつあった。危機感を持った竹橋も渋々了解の上、地 域銀行から紹介された事業引継ぎ支援センターに譲渡相談を行うことになった。

成立に至った経緯

同センターは他地域の同業他社B社に A 社との中小M&A について打診した。B 社は他地域への進出を希望しており、A 社事業を譲り受ける意思も固まっていた。

一方、A社は業績と資金繰りが急激に悪化し、事業の継続が危ぶまれた。竹橋は、長年の取引先や従業員のことを第一に考え、譲渡代金の早急な支払を条件とし、当初オファーを受けていた金額よりも相当低額で B 社へ事業譲渡を実行した。

成立に至った後の経緯

竹橋は既存取引先に迷惑を掛けず、従業員の雇用継続が図れたことは満足し ているものの、決断が遅れたため低額での譲り渡しとなり後悔の念が残った。

譲り渡し側の条件の明確化が中小M&Aの成立に寄与した事例

譲り渡し側経営者の希望通り、従業員の雇用が引き継がれることを条件として成立した事例

中小M&Aの経緯
意思決定に至るまでの経緯

A 社は、代表者である隅田紀子(仮)が80歳間近となる中、熟練の職人を抱えていたものの、親族・従業員に承継意思のある後継者が不在のため、中小 M&A を検討し始め、顧問税理士に相談した。

成立に至った経緯

A 社は顧問税理士に勧められ M&A プラットフォームを活用した。複数件の譲り受け側候補のうちの一社が、他地域で溶接加工会社を営む B 社であった。

B 社は、A 社の熟練の職人の技術力を評価し、自動車用金属部品の加工の点で自社事業との相乗効果(シナジー)があると考え、事業譲渡契約締結に至った。

A 社及び隅田は従業員の雇用継続を第一条件として伝え、譲渡額は譲歩した。

成立に至った後の経緯

B 社は A 社及び隅田との約束通り、A 社従業員の雇用を全て引き継いだ。それと並行して B 社は全従業員へのヒアリングを行い、中小 M&A を機に人事制度改 革・ 働き方改革等を進め、待遇の改善が実現した。

譲り渡し側経営者が中小 M&A の成立後にも一定期間経営に関与することを条件として成立した事例

中小M&Aの経緯
意思決定に至るまでの経緯

A 社代表者である大野隆(仮)は65歳になったが、子はおらず他の後継者候補 もいないことから、事業引継ぎ支援センターに譲り受け側探索の相談をした。大野は、長年いそしんだ事業に愛着があり、引き続き事業に関与したいと考えていたが、他人に譲った事業に関与させてもらうことは難しいだろうと半ば諦めていた。

成立に至った経緯

A 社は決して大規模ではないが良い製品を作ると業界内では評判であり、譲り受け側 B 社(同業の大手)がすぐ見つかった。大野は言い出して良いものか悩みな がら、事業を譲り渡した後も引き続き事業に関与したい、その代わりに譲渡額については譲歩しても良い、とトップ面談で B 社に正直に打ち明けた。

B 社は、A 社の生産体制にとって大野の高い技術力が重要であると認識しており、大野による提案を受け入れ、非常勤(週3日勤務)で技術指導を依頼することに した。譲渡額は若干減額したが、大野は A 社の全株式を B 社に譲渡した。

成立に至った後の経緯

大野は、希望通り引き続き事業に関与している。一方、毎週4日間の休日は妻と一緒に「夫婦水入らず」の時間を楽しんでいる。

従業員の反対にもかかわらず成立した事例

中小 M&A に反対していた従業員の理解を得た上で成立した事例

中小M&Aの経緯
意思決定に至るまでの経緯

中古厨房機器の市場は市況が厳しく、A社も前期から赤字に転落してしまっており、会社に資産が残っている段階での廃業を検討していた。

A 社代表者の小林誠(仮)が顧問の公認会計士に相談したところ、高額の廃業費用、従業員への影響等を考慮し、より良い選択肢として中小 M&A を提示された。

成立に至った経緯

顧問の公認会計士が M&A プラットフォームを活用して譲り受け側候補を探索した結果、他県で新品厨房機器販売を営む B 社とつながった。B 社も、業界全体が苦しい中、生き残りのための中小 M&A と考えており、両社のニーズが合致した。

これに対し、数名の A 社従業員は、「すぐに全員解雇される」と誤解し、中小 M&A に反対した。そこで B 社は小林と共同で従業員説明会を開催し、あくまで会社の将来を案じての意思決定であり、従業員の雇用も守る旨を膝詰めで丁寧に説明したところ、全員からの納得が得られ、円満に小林との株式譲渡契約締結に至った。

成立に至った後の経緯

B 社は約束通り A 社従業員の雇用を守り、事業を継続している。

廃業を予定していたものの中小M&Aが成立した事例

事業の一部を中小M&Aにより譲渡し、廃業費用を捻出した事例

中小M&Aの経緯
意思決定に至るまでの経緯

A 社は、製造業・小売業の2つの事業を営んでいた。小売業は黒字で採算がとれている一方、製造業は常に大幅な赤字で不採算であった。しかし、製造業のみに利用している工場の閉鎖には、数千万円単位の廃業費用が見込まれており、A 社 の代表者である伊藤博(仮)は、製造業の部門の閉鎖を決断できずにいた。

そのような状況で、伊藤は70歳となり、後継者候補もいないことから、顧問税理士に中小 M&A の相談をしたところ、その関与先である B 社を紹介された。

成立に至った経緯

B 社は、A 社の小売業部門の独自性・流通網に大きな魅力を感じる一方、製造業部門は不採算部門として認識し、小売業部門のみの譲り受けを希望した。その ため、A 社は、B 社に対し、小売業部門のみを一部事業譲渡した。

成立に至った後の経緯

A 社は、B 社から受け取った事業譲渡対価から、製造業部門の廃業費用を捻出することができたため、伊藤は A 社を解散・清算して無事に閉じることができた。

廃業を考えていたものの、支援機関から中小 M&A を提案されたことを機に中小M&A に挑み、成立した事例

中小M&Aの経緯
意思決定に至るまでの経緯

A 社代表者である青田豊(仮)は、A 社を設立して40年、A 社の事業に全力投球してきた。しかし、子はおらず、他の後継者候補もいなかった。また、創業時から二人三脚で A 社の事業に尽力してきた妻が最近亡くなったため、事業を継続していく気力をなくし、廃業を検討し始めていた。

そのような状況で、知人から紹介された M&A 専門業者に相談したところ、中小 M&A という選択肢があることを知った。青田は、もともと従業員や取引先に迷惑を掛けたくないと思っていたことに加え、亡き妻と一緒に大きくしてきた事業を可能な 限り継続させたいと思い直したことから、中小 M&A に踏み切ることを決意した。

成立に至った経緯

A 社は地元では優良企業として知られており、すぐに同地域内の B 社から声が掛かり、青田と B 社の間で株式譲渡が円滑に実行された。

成立に至った後の経緯

青田は、妻との思い出の詰まった A 社をそのまま残せていることを、心から嬉しく思っている。一方で、青田は B 社から「顧問」という立場で A 社に残ることを打診されたが、これを断り、A 社の外から、A 社のますますの発展を祈っている。

中小M&Aが成立しなかった事例

中小 M&A 着手が遅れたため、資金繰りが尽きてしまい、中小 M&A が不成立に 終わり廃業した事例

中小M&Aの経緯
意思決定に至るまでの経緯

A 社代表者である大岡千太(仮)は70歳で、後継者候補もいないものの、多忙な毎日に追われ、事業承継を考える暇がなかった。

A 社は、金融機関から約2億円の借入を行い、なんとか事業を継続していたが、大岡は体力が徐々に落ち始め、満足に営業できなくなってしまった。それと並行して、A 社は顧客が少しずつ離れていき、3年前に約1億円あった売上も約5000万円に落ち込んだ。資金繰りは日に日に悪化していき、2~3か月以内に資金繰りが尽きることが見込まれる状況に陥ってしまった。

そこで、大岡は弁護士に相談し、社外の第三者に事業を譲り渡そうと決意した。

成立に至った経緯

資金繰りが悪化する中で、A 社が譲り受け側(スポンサー)を探す時間的な余裕はほとんど残されていなかった。また、弁護士が紹介した M&A 専門業者が懸命にスポンサー探索を行った結果、スポンサー候補が複数社、A 社に関心を示したものの、活気を失った A 社の事業を譲り受ける決意をしたスポンサーは現れなかった。

成立に至った後の経緯

A 社は、資金繰り悪化に耐えきれず破産し、廃業した。また、A 社の金融機関からの借入について個人保証(経営者保証)していた大岡も、同時に破産した。

社外へ情報が漏れたことに伴い、中小M&Aが不成立になった事例

中小M&Aの経緯
意思決定に至るまでの経緯

A 社代表者である遠藤茂(仮)は、後継者候補がいないことから、金融機関からの紹介で M&A 専門業者に中小 M&A の相談を行った。

成立に至った経緯

M&A 専門業者が迅速に動いたことから、4か月で、B 社とのマッチングが実現した。基本合意を締結し、あとは最終契約に向けて交渉を詰めていく段階にあった。

遠藤は、当該 M&A 専門業者から「M&A が成立して無事に決済が完了するまでは、M&A に関する情報は慎重に取り扱うようにし、自社の従業員や社外の方には決して知らせないように。」と再三にわたって忠告されていた。しかし、遠藤は、B 社 が譲り受け側に事実上内定したと認識して安堵し、まだ決済どころか最終契約も完 了していないにもかかわらず、従業員や一部取引先を含め、色々な関係者に B 社 の名前を出した上で、中小 M&A を行おうとしている事実を伝えてしまった。

B 社は、遠藤により中小 M&A の情報が流出したことを知って激怒し、信頼関係が破壊されたことを理由に、その後の中小 M&A に関する交渉を打ち切った。

成立に至った後の経緯

その後、A 社は、遠藤が90歳を迎える頃まで徐々に事業規模を縮小していき、 最終的には廃業に至った。遠藤は、B 社との交渉が決裂した後になって初めて、中 小 M&A に関する情報の取扱いの重要性を理解した。

オーナー一族間の不和、コミュニケーション不足により、中小 M&A が不成立になった事例

中小M&Aの経緯
意思決定に至るまでの経緯

15年前、先代オーナーであった父親の他界に伴い、製造部門の責任者であった長男(芦田幸平(仮))が A 社の社長に就任し、販売部門の責任者であった次男 (芦田淳平(仮))が副社長に就任した。その後、A 社は新規事業に挑戦するも失敗し、また、人件費の高騰等で業績は伸び悩み、資金繰りが悪化した。

淳平はこのままでは A 社が破産してしまうと危機感を持ち、知り合いの弁護士に相談をしたところ、事業再生のためにはスポンサー探しが必要と示唆され、当該弁護士の紹介した M&A 専門業者に依頼した。

成立に至った経緯

M&A 専門業者が複数のスポンサー候補を提示した。このうち、B 社は A 社の販路や知名度を高く評価し、A 社の主力事業を事業譲渡の手法により譲り受けたいと興味を示し、淳平と面談を実施した。

一方で、3代続く家業を第三者に譲ることに反対していた幸平は、淳平が社長である自分に相談せずスポンサー探しをしていたことに激怒し、淳平に副社長としての役職を辞任させ、更に B 社との交渉を打ち切った。

成立に至った後の経緯

A 社従業員は、経営陣の内紛に不安を感じ、退職者が急増した。A 社は売上も伸びず、徐々に事業規模を縮小していき、最終的には廃業に至った。

譲り渡し側が不誠実であったため中小M&Aが成立しなかった事例

中小M&Aの経緯
意思決定に至るまでの経緯

A社は地域密着で運送業を営んでいたが、社長である近藤勝(仮)が75歳となり、後継者候補がいなかったことから、中小 M&A を決意し、M&A 専門業者にマッチ ング支援を依頼した。

成立に至った経緯

A 社は地域内では有名な企業であり、同地域内の B 社とのマッチングがすぐに 実現し、近藤の有する A 社株式の全部譲渡を前提に、順調に基本合意締結に至っ た。しかし、近藤は、B 社への対応を甘く考えており、B 社による DD にほとんど協 力せず、4か月経っても DD の必要資料がほとんど揃わない状況であった。

また、近藤は、A 社を手放すのが段々と惜しくなってきたため、譲渡条件がほぼ固まった後になって突然、中小 M&A 後も自分を A 社の顧問として登用し、A 社の経営を自分に委ねるよう、B 社に対して要求するようになった。

B 社は、近藤の不誠実な対応に嫌気が差し、A 社及び近藤との信頼関係が損なわれたことを理由に、A 社との中小 M&A を断念し、交渉を中止した。

成立に至った後の経緯

その後も A 社において中小 M&A が成立することはなく、近藤は数年後に持病で亡くなった。突然トップ不在となった A 社は、役員・従業員間での経営権争いを経て元役員により承継されたが、長い社内抗争を経てすっかり弱体化し、その後、廃業 した。

この記事は、経済産業省中小企業庁が策定した「中小 M&Aガイドライン」の参考資料で紹介している事例をまとめています。

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