レストラン経営者はどうすれば生き残れるのか? ウルフギャング・パックが語る

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新型コロナウイルス感染拡大の影響は、今なお続いています。それは日本だけでなく、海外でも同様。特に、ロックダウンなどを行った国は日本以上に深刻な事態なのかもしれません。現地のリアルは実際に行ってみないとわかりませんが、今は渡航できる状況でもありませんから、現地のインタビュー記事にお世話になりましょう。カリスマ的シェフであり経営者でもあるウルフギャング・パック氏は、この時代をどう生き抜こうとしているのでしょうか。

ロックダウンの最中、ウルフギャング・パックが試行錯誤したこと

新型コロナウイルスの感染拡大により、最も打撃を受けている業界の一つが外食産業だ。営業自体が制限されたり、店内での感染を恐れて客足が遠のいたりと、先の見えない厳しい状況に置かれている。ハーバード・ビジネス・スクールのボリス・グロイスバーグ教授は、世界中でレストランを展開するウルフギャング・パックにインタビューを行い、コロナ禍を生き抜くために何をやってきたかを聞いた。

(中略)

レストランを休業にしたとき、テイクアウトを始めることにしました。最初は、うまくやるノウハウがなくて大変でした。3週間ほど経ったとき、「ビジネスが成長していない」と思いました。私はいつも、どうすればこのビジネスを成長させられるかを考えるタイプなのです。

 そこで、テイクアウトをもっと幅広く考えようと思いました。「人々に体験を与えよう」と。たとえば、サンタモニカにあるレストラン「シノワズ・オン・メイン(Chinois on Main)」で、65ドルのロブスター料理を販売することに注力するのはやめよう。そうではなく、私たちの店で食事をするアドベンチャーを提供しよう、と提案したのです。

 そこで、39ドルでワンタン入りチャイニーズ・チキンスープ、餃子の辛味ソース添え、野菜の春巻き、シノワズ・チキンサラダ、ロブスターの半身またはショートリブのジンジャースイートポテトのピューレ添え、そしてクッキーのセットを用意しました。もちろん大した利益にはなりませんでしたが、これが多くの人を呼び込むことになりました。

 私にとっては、それが一番重要です。私はビジネスが成長するのを見るのが好きなのです。全部のレストランで、こうした成長を生み出す方法を見つけなければいけません。

 ビバリーヒルズの「スパーゴ」でも新しい試みをしました。最初は、ストックしていた食材を動かすために割引価格で提供を始め、徐々に価格を戻していきました。さらに、ワインとカクテルの販売も始めました。これがとても好評だったようです。本格的な「ネグローニ」を購入できます。あとは氷の入ったグラスに注いで、オレンジの皮を添えるだけです。

 やがて、水曜日と木曜日は、テイクアウトがやや低調であることに気づきました。そこでフライドチキンを始めたところ、圧倒的な大ヒットメニューになりました。これは誰も予想していなかったことです。

 うまくいかなかったアイデアもあります。木曜日にハンバーガーを用意したことがあるのですが、あまり売れませんでした。でも、そうやって、いろいろ試しました。試さなければ、何がよいかわかりませんからね。

 今度はバーベキューを試すつもりです。それがうまくいかなかったら、フライドフィッシュか何かをやるでしょう。手探りです。

 新たな顧客を獲得するために、現状に適応して、あれこれ試す努力をしています。コロナ危機をチャンスにしようとしているのです。もしかすると、テイクアウト専門のキッチンをつくるかもしれません。これを機に、まったく新しいビジネスを生み出せるかもしれませんよ。

DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|ウルフギャング・パックが語る、レストランがコロナ禍を生き抜く方法

「とにかく手探りで試す」というのが、パック氏が行ったこと。

だれもこんな事態を想定していなかったでしょうから、明確な答えを持っている人なんていないでしょう。

前例がないわけですから、とにかく試す。

遠回りなようで、それが最短ルートなのかもしれませんね。

コロナ禍でチームをどうマネジメントしたのか

コロナ禍でチームをどのように管理してきたのですか。レストランの店長たちはビジネスの成功を維持するために、どんな役割を果たすのでしょうか。

 今回の危機で、これまで以上に経営の分権化が必要になりました。私は、あれこれ指示を出さなくても、自分で考えて行動できる人と仕事をしたい。官僚的な仕組みにはしたくありません。どのレストランでも、シェフと店長がその店の経営を担う責任者です。

 シェフが市場で新鮮な材料を見つけたとき、店長に電話して「メニューを変えて、これを使ってもいいかな?」などと聞く必要はありません。「好きにしろ。君を信頼しているから」と、私は常日頃から言っています。そうすると彼らは自信を持てますし、自由にやれるようになり、幸せに仕事ができます。

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「好きにしろ。君を信頼しているから」

とパック氏に言われたら、モチベーションの上がる店長や料理人も多いでしょうね。

しかし、「信頼して任せる」というのは、案外難しいものです。

現場経験豊富な経営者の方ほど、おそらく手や口を出したくなってしまうのではないでしょうか。

レストラン業以外へのチャレンジ

新たな収入源を確保するために、レストラン業以外に進出したことはありますか。

 調理機器や調理品の通販を試してみたところ、うまくいっています。エアフライヤーは1万1000台以上売れたし、ステーキも36万ドル相当の売上げがありました。

 調理品は2ヵ月に1度やっています。やろうと思えばもっとできるのですが、倉庫がありませんし、ケータリング用のキッチンをスタジオに変えるので、準備に時間がかかるのです。ケータリング専門のシェフたちもよくやってくれていて、最近ある週末で250万ドル相当のイベントをこなしてくれました。

 2週間ほど前、素晴らしい機会にも恵まれました。バーチャル料理教室です。料金は175ドルですが、150人もの申し込みがありました。ちょっと高い気がするかもしれませんが、カクテルが2杯と、キャンティ(赤ワイン)が1本、3皿のコース(の材料)とデザートが届きます。

 こちらで揃えた材料もあれば、参加者が自宅にある材料を使うこともできます。つくり方は動画で見せます。「すごい、自分でリゾットをつくれるなんて!」といったコメントをたくさんもらいました。参加者には貴重な体験だったようです。

DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|ウルフギャング・パックが語る、レストランがコロナ禍を生き抜く方法

調理器具・調理品の通販やバーチャル料理教室など、面白い取り組みですよね。

日本でも、割烹料理店の料理人の方がYouTubeにおいしい出汁の取り方やだし巻き卵の作り方などを載せて大きな反響があったり、通販(お取り寄せ)にシフトした飲食店があったりと、似た取り組みをして成功している事例があります。

変化のない時代はありませんし、時代はいつも激動です。

この大きな変化に適用して、たくましく生きていきましょう。

この記事が、飲食店経営者の方に少しでも役立てば嬉しい限りです。

この記事を書いた人
中島 宏明

2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主にフリーランスとして活動中。

2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から仮想通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。現在は、複数の会社の顧問・経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。

マイナビニュースでは、仮想通貨に関する記事を連載中。
https://news.mynavi.jp/series/cryptocurrency

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