不安なときは、誰でも経営理論やビジネスツールに飛びつきたくなるでしょう。しかし、流行りの経営理論やビジネスツールで自社の経営課題を解決できるとは限りません。実は、答えはいつだってシンプル。課題解決に魔法はないと心得て、挑戦を続けましょう。
流行りの経営理論やビジネスツールに惑わされてはいけない
売上アップ・販路拡大や資金繰り、人材採用、育成、定着など、経営課題は尽きません。次々に起こる問題や浮き上がってくる課題に疲れ、流行りの経営理論やビジネスツールに頼りたくなることもあるでしょう。
しかし、株式会社RE-Engineering Partners代表で経営コンサルタントの稲田将人氏は、次のように述べています。
経営者にしてみれば、現状を打破したいという想いから、ビジネス誌や経済紙を読み、IT系の経営ツールの営業マンの話を聞き、流行りの経営理論や道具立て(実はその多くが「バズワード」)に飛びつきたい時もあるでしょう。
しかし、人は誰でもイリュージョン、幻想に惹かれます。誰もが心の片隅では、まだ見ぬ未知の「魔法」の存在を信じたいもの。
しかし、私の長いコンサルティング経験から言うと、経営に魔法の道具はありません。
御社がこれまでに「魔法」の存在を信じて取り入れたビジネス道具(ツール)、あるいはコンサルティングなどの効能を冷静に振り返っていただければ、これは明らかだと思います。
どんな苦境にあったとしても、流行りの経営理論や魔法の道具に飛びついてはいけない|ダイヤモンドオンライン
世にある多くのビジネスに関する論文や書籍には、ユニークな着眼点やアイデアで面白いものがたくさんあります。ただしそれらの書き手の中には、切り口のユニークさで学会での評価を狙ったものや、「どこそこの企業での成功事例です」とコンサルティングや経営・ITツールの受注につなげたい人も大勢います。
結果、本当に今の自社が抱える問題に対する処方箋になっているか、単なるアイデアではなく本当に実践で使えるレベルにまで練られているのかといえば、疑問を感じざるを得ません。
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稲田将人氏の言うとおり、理論はしょせん理論ですから、実践で使えるレベルにまで練られていないと、会社経営上は価値がありません。読み物として愉しむ分には良いですが、行動を変えないと結果も変わらないでしょう。
会社を良くするか悪くするかは経営者次第
稲田将人氏の記事の冒頭には、
時代や環境変化の荒波を乗り越え、永続する強い会社を築くためには、どうすればいいのか? 会社を良くするのも、ダメにするのも、それは経営トップのあり方にかかっている――。
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とあります。まさに、会社を良くするのも、ダメにするのも経営者次第です。「部下が悪い」「優秀な人材が来ない」「時代が悪い」と嘆いても、何の解決にもなりません。
企業が直面している低迷状態、あるいは苦境の多くは、「事業のトップ、創業者、あるいは企業のオーナーが、ほんのちょっとしたことさえ知っていれば、避けることができたことばかり」であるということです。
そして、たとえ今、難しい局面にあったとしても、ほとんどの企業においては、それを乗り越えるシナリオを描くことができ、その実行の際の押さえどころも明確だということです。
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稲田将人氏は、豊富なコンサルティング経験から「たとえ今、難しい局面にあったとしても、ほとんどの企業においては、それを乗り越えるシナリオを描くことができ、その実行の際の押さえどころも明確だということです」と断言しています。どんな苦境でも、乗り越える方法はあると希望を見出していきたいですよね。
答えはシンプルなこと
改革現場で仕事をしていてつくづく感じるのは、経営は複雑なものではなく、実はシンプルなものだということです。
しかしながら、部分最適のための様々な理論や手法に惑わされると、複雑怪奇な世界にハマってしまいます。
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と稲田将人氏が書いているように、答えや真理はシンプルであることが多いと思います。
例えば、「品物の大きさを選別するシンプルで賢い方法」としてTwitterで話題になった動画があります。良かったら、こちらから動画を見てみてください。極めてローテクです。
果物の大きさを選別するために、必ずしも最新のセンサーやカメラ、AIを搭載する必要はありません。「実はこれだけのことで良かった」なんてケースは、他にもあるでしょう。流行りの経営理論やビジネスツールに頼らなくても、案外答えはシンプルで身近にあるのかもしれません。アンテナは、感度良く高く広く立てておきたいですね。