有形資産と無形資産 どちらを保有する方が豊かになれる?

お役立ち記事
この記事は約5分で読めます。

パンデミックによる経済への影響から、2020年から2021年にかけて改めて注目された投資や資産運用。数多くある投資・資産運用の手段のなかで、より豊かにしてくれるのはどのような「資産」なのでしょうか。本稿では、有形資産と無形資産についてお伝えします。

有形資産とは

有形資産とは、言葉のとおり形ある資産のこと。例えば、土地や建物、設備などです。

会計においては、「有形固定資産」として

・建物

・建物附属設備

・構築物

・船舶

・航空機

・車両運搬具

・工具

・器具備品

・機械装置

などが該当します。

本稿でいう有形資産は、会計における有形固定資産よりも広い意味で、株の証券や外貨、日本円の現金や預金、暗号通貨(クリプト)なども含みます。

かつては、これらの有形資産を増やすことこそが「豊かになること」でした。良いところに住み、いつかはマイホームを買う。良い車に乗る。良いものを食べる。良い服を着る。海外旅行に行く。趣味の良い趣味を愉しむ。貯金を殖やす。株などの金融資産を殖やす。不動産資産を増やす…などの、ステレオタイプな豊かさです。

新興国は高度経済成長期にありますので、有形資産を増やすことを追求するのもわかりますが、令和時代の日本人はそれで満足できるでしょうか。

「若い社員は、給与を上げても嬉しそうじゃない」

「ボーナスを支給しても、若者のモチベーションが上がらない」

という経営者の方もいらっしゃいます。

令和時代の若者…といっても、その一部だけなのかもしれませんが、お金の優先順位は徐々に下がっていると感じます。

無形資産とは

では、令和時代には有形資産よりもどのような資産が重要になるのでしょうか。

パンデミックの影響もあり、株式市場やクリプト市場は過去最高値を更新するなどの盛り上がりを見せました。金融経済が盛り上がる一方で、実体経済ではホテルや旅館、飲食店、などは廃業したところも出てきています。

ですが、どんな時代にも状況を見極めて利益を出し続けられる人はいます。また、コロナの状況下においてもピポット・業種転換や多角経営化に成功した中小企業も多くいらっしゃいます。

経験を活かせるかどうかは、自分次第です。投資や資産運用、経営の経験を通じて国内外につながりが増えていますので、情報やノウハウは質量ともに充実してきています。これらは、有形資産ではなく「無形資産」です。総資産額のように、数字だけで表せるものではありません。

『無形資産が経済を支配する: 資本のない資本主義の正体(ジョナサン・ハスケル+スティアン・ウェストレイク 著 東洋経済新報社)』という本のなかでも、無形資産の重要性について論じられています。

ビル・ゲイツ氏がこの本に寄せた推薦文には、

「世界経済最大のトレンド『無形資産』を理解したければ、本書を読むべきだ」

とあります。興味がある人は、ぜひ読んでみてください。

無形資産の一例には、

・スターバックスの店舗マニュアル

・アップルのデザインとソフトウェア

・コカ・コーラの製法とブランド

・マイクロソフトの研究開発と研修

・グーグルのアルゴリズム

・ウーバーの運転手ネットワーク

などがあるそうです。

無形資産を重視することは、世界経済のトレンドに沿ったことと言えるでしょう。

企業では、特許や著作権、商標権、企業文化、企業理念、技術、ノウハウ、経営管理プロセス、業務フローなどの無形資産が重視されてきています。

個人であれば、家族や友人、人間関係、知識、スキル、健康、愛情、幸福感などが無形資産です。

こちらを充実させる方が、豊かさに直結するのではないでしょうか。そう考えると、有形資産に強くこだわるお金至上主義やGDP至上主義は時代遅れなのかもしれません。

お金は追いかけるほどに逃げていくもの

「ニューヨークやシリコンバレーでは、ランチに数千円はかかる。シンガポールやタイも価格が上がっている。それに比べて日本はデフレで…」

というのは、私の周囲でよくされる会話です。

日本の物価が相対的に安くなっているのは事実ですし、このままでは今は新興国と呼ばれている国が経済成長して先進国になり、日本が新興国(衰退途上国?)になるのではなかろうかと感じることもあります。

ですが、海外の一部の経済力の差と日本経済の衰退を憂いていても何にもなりません。前述のお金至上主義やGDP至上主義のような、時代遅れで古臭い見方です。また、「経済成長していないから貧しい」というのも短絡的な考え方でしょう。日本ほどモノやサービスに恵まれ、治安が良く、生活コストの安価な国は他にないと思います。「安い」と「貧しい」はイコールではないのです。

お金という単一の尺度で、人や国、企業に序列をつけて、その結果に一喜一憂しても価値がありません。日本はすでに成長社会を脱し、ポストモダン、成熟社会にシフトしています。時代が違うのに、高度成長時代の尺度で測っても意味がないと思うのです。

今の時代は、功徳を積んで評価資産という無形資産を充実させた方が、結果的に良質な時間やモノを手にしやすいと感じています。

では、どうすれば功徳を積めるのか。

その答えはシンプルで、目の前の人やことを大切にし、真摯に誠実に対応することです。日本人は本来的にこの精神を持っており、その精神は道徳という言葉で表せるでしょう。

新型コロナの影響でまだまだ世の中は大変な状況ですが、真摯に目の前の仕事に集中した方が良いですね。

この記事を書いた人
中島 宏明

2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主にフリーランスとして活動中。

2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から仮想通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。現在は、複数の会社の顧問・経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。

マイナビニュースでは、仮想通貨に関する記事を連載中。
https://news.mynavi.jp/series/cryptocurrency

お役立ち記事
タイトルとURLをコピーしました