さて、今回も引き続き「社長が大好き」なテーマ、出張旅費規程のお話です。
前回も言いましたが、これは、私が5年以上にわたって実際にやってみての体験がベースになっています。
身体を張った実体験エピソード(笑)。
それではいってみましょう!
「出張旅費規程」の導入は難しい?
今まで述べてきたように、
出張旅費は、
規程さえルールに則って、
きちんとドキュメントを残せば、
・領収書不要で、
・日当も含めて、
全額損金に算入できるという
魔法のようなアイテムです。
しかし、これほど便利な出張旅費ですが、その導入について顧問税理士に相談すると、「否認される恐れがある」と言われ、反対されることがあります。
顧問税理士さんの苦しい「立場」とは
それは確かに、「可能性がある」としては間違いのないことであり、顧問税理士さんとしては伝えなくてはならないでしょう。
ただし、「可能性がある」とだけ伝えるのでは、あまり意味がありません。
なぜなら、理屈から言えば、出張旅費に限らずほとんど全てのアイテムが「可能性ゼロではない」からです。
アドバイスするのであればクライアントの意向をくみ取った上で、プロとして「導入メリットとリスクの大小」を比較して伝えなければいけないと思いますね。
しかし、現実問題としては税理士さんであっても、旅費規程に関する税務リスクを判断する材料を持つことは難しい状況にあるのです。
なぜなら、手持ちの事例もほとんど無ければ、世の中で公開されている事例もほとんど無いからです。
そう考えれば、顧問税理士さんの立場も理解できます。
以下に、顧問税理士さんが、旅費規程の導入を反対する4つの主な理由を挙げます。
顧問税理士さんが反対する理由とは
理由1)規程の作成は税理士業務ではないため
旅費規程を含む各種の規程は、正確には就業規則の一部であり、社会保険労務士の業務の範疇です。
そのため税理士としては、本来の専門領域ではないので、手を出しにくいという意識もあるのです。
また反対にほとんどの社会保険労務士は、規程を作ることはできても、税法に明るくないため、やはり手出しがしにくい。
結果として、専門家が手を出しにくい「真空ゾーン」になってしまっているのです。
理由2)旅費規程の税務上の判断があいまいなものであるため
旅費規程は、他の税務判断と比べ、各社の状況に任せる部分が大きく、正しい、誤りというのを一概に判断することができません。
また税務調査においても同様で、
「あちらの会社ではよかったけれどもこちらの会社ではダメ」
「前回はよかったけれど今回はダメ」
ということも起こり得ます。
このような状況から、多くの税理士さんは顧問先に対し旅費規程を勧めることはほとんどないし、
勧めたとしても税務的な安全圏を優先した、運用上としては使いにくい内容になりがちだと思われます。
理由3)旅費規程導入の経験、税務調査の経験がないため
上記1)2)の理由により、税理士であっても旅費規程の導入や税務調査の経験はほとんどできないのが現実です。
経験がないままだと、なかなか的確なアドバイスは難しいでしょう。
理由4)効果的な節税法を自ら提案しなかったため
ちょっとうがった見方ですが・・・
社長がこのようなマニュアルを見て、自社で導入したいと言ってきた場合、
それが効果的であればあるほど、自分から提案しなかった責任が生まれてしまうため、
あれやこれやと理由をつけて、反対する立場を取ってしまう、という先生も中にはいるかもしれません。
というわけで、
上記のうちのどれか(あるいは全部)の理由で、
顧問税理士さんは、この導入に積極的ではないのですね。
だったら諦める?
それはあまりにもモッタイ無いですよね。
ではどうすればいいか?
ベストな方法はこれ
結論として、
社長であるあなた自身がしっかり旅費規程の本質を理解すること。
これに尽きます。
その上で、
税理士さんに責任をおっかぶせるのではなく、
自らの責任で導入を決定し、
税理士さんには「サポート」をお願いする、
これしかありません。
しっかり勉強した上で導入しないと火傷してしまいます。
安易なノウハウとして表面だけを浅く知るのではなく、
しっかりまず自分自身で、本質を理解すること。
これですね。
なお、出張旅費規程の情報は、今後も発信していくのでどうぞそちらの方も楽しみにして下さい。
それでは!
注)自社に出張旅費規程を導入する場合は、必ず税理士などプロのアドバイスを聞いた上でなさってくださいね。
*以上の文章は、
旅費規程活用マニュアル
を参考にしています。