「しょせんは投機」「投資は良いが投機はダメ」。投機に対して、そんなネガティブな印象をお持ちの方もいらっしゃいます。悪者にされがちな投機ですが、本当に悪なのでしょうか。今回は、投機の象徴として取り上げられやすいビットコイン・仮想通貨(暗号資産)と投機の関係性についてご紹介します。
「価格高騰」はニュースになりやすい
ビットコインに限らず、仮想通貨(暗号資産)の価値を上げるのに最も有効なのは、「価値が上がった」あるいは「価格高騰」の事実です。それと同様に、「億り人(長者)が生まれた」というニュースは注目度が高く、仮想通貨(暗号資産)への投資を検討する人や実際に投資する人を増やすことに貢献します。儲かる/儲からないという話は下世話に感じる人もいらっしゃるかもしれませんが、仮想通貨(暗号資産)の普及には「投機の要素が不可欠」ということになります。
仮想通貨(暗号資産)の価値が上がる理由は、極めてシンプルです。
売る人よりも、買う人と保有し続ける人が多ければ、その仮想通貨(暗号資産)の価値は上昇します。 ビジョンや機能が魅力的な仮想通貨(暗号資産)を見つけたら、「なくなっても仕方ない」と思える範囲の余力資金で自分も投資し、魅力を人に伝達すること。そんな伝達する人、いわゆるエバンジェリスト(伝道師)を増やすことができれば、その仮想通貨(暗号資産)の価値もやがては上昇します。
「いかにその仮想通貨(暗号資産)のファンをつくるか」ということなのですが、本質はいつもシンプルなのに、ついつい複雑に捉えたり考えたりしてしまいがちです。
投資と投機に善悪はない
「投機」という言葉を使うと、ネガティブなイメージを持つ人もいらっしゃるかもしれません。「投資は善で、投機は悪」という考え方は、日本では案外一般的です。「投機はお金を転がすだけのマネーゲーム」と言われることもあります。
しかし、投資も投機も、利益を得ることを目指している点では一緒です。利益の源泉が、投資の場合は「価値の向上」で、投機の場合は「価格の変動」であるという違いだけです。投資と投機に善悪はないですし、貴賤もないと私は思います。
「私は投資家であって、投機家ではない」
とおっしゃる方もいますが、「儲けたい」という本心や野心を言葉で隠しているだけのようにも感じてしまいます。
私の場合、ずっと保有しているだけで仮想通貨(暗号資産)を売却することもないのですが、「売りたいときに売れる」「いつでも現金化できる」と思えるのは、投機家の方々がいるおかげです。仮想通貨(暗号資産)の流動性・換金性が高いのは、投機家の存在があるからこそ。投資家と投機家、どちらも市場に必要な役割です。
ポジティブ・ネガティブどちらのニュースも歓迎される
「ポジティブなニュースが多い方が、仮想通貨(暗号資産)の普及につながりやすい」という面も確かにありますが、実はネガティブなニュースでも普及につながるので歓迎されるものです。
例えば、2014年のマウントゴックス事件は、仮想通貨取引所のハッキングによるビットコインの大量流出や横領が問題になり、仮想通貨(暗号資産)業界に衝撃を与えました。
極めてネガティブなニュースだったわけですが、この事件によってビットコインの存在を知った人も多くいました。そして、ビットコインに投資する人や保有する人(ホルダー)が増え、ビットコインの価値は徐々に上昇していきます。
過去の値動きを見ていると、仮想通貨(暗号資産)市場に生息する人たちは、基本的にポジティブなんじゃないかと感じます。最近では、著名人の発言ひとつで仮想通貨(暗号資産)の価格が上下することすらありますので。
「些細なことでも仮想通貨(暗号資産)の価値は反応するし、そこに対してポジティブに挑んでいく」
そういった姿勢の方が、利益を得やすいのではないでしょうか。
これは、仮想通貨(暗号資産)市場に限らず、株式市場でも同じだと思います。
市場は神聖なものではないですし、綺麗事を言っても利益を得られるわけではありません。「お金を回す素敵な装置」くらいに思って、売ったり買ったりするのが良いでしょう。