前代未聞!第一生命「19億円詐欺」89歳セールスレディの素顔(前編)

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〜驚愕の事件はなぜ起こり、10年間もの間発覚しなかったのか〜

2020年10月に発覚した山口県周南市を舞台にした詐欺事件。その被害額の大きさから大々的に報道されました。

保険業界に20年以上在籍した私にとっても非常にショッキングな事件でした。

被害額はなんと19億円。
しかも主犯のセールスレディはなんと御歳89歳!?
なぜこのセールスレディは19億円ものお金を顧客から騙し取ることができたのか。
そしてなぜ10年間も発覚しなかったのか?

そこで、今回は、その全貌を追うと供に、こういった経済詐欺事件を見抜き、未然に防ぐ工夫につい
まとめてみました。

それではいってみましょう!

事件の経緯

まずは、第一報のニュースから引用してみましょう。

「第一生命保険(東京)は2日、山口県周南市の事務所で働いていた80歳代の元営業職員の女性が、顧客に架空の金融取引を持ちかけ、金銭をだまし取ったと発表した。詐取は10年以上にわたるとみられ、少なくとも21人から計約19億円を集めたという。山口県警が詐欺容疑で捜査している。

 同社の発表によると、元職員は西日本マーケット統括部徳山分室に在籍。顧客に「高金利が適用される『特別枠』で運用する」などと持ちかけ、1人あたり数百万~2億8000万円程度を不正に得ていた。金の一部は、「利息」と称して顧客に返していたという。」

(読売新聞オンライン)

さて、時間が経過するにつれて、事件の全貌が明らかになってきました。
これを見ていきましょう。

事件の舞台は、山口県の周南市。

第一生命保険の周南市徳山分室です。

事件の主役は、ここに在籍していた特別調査役M(89歳)。

彼女は、第一生命の中では特別な存在で、専用の部屋や彼女専任のスタッフが配置されるなど、役員クラスのような特別待遇を受けていました。

それほど、彼女の上げる挙績が第一生命の中で突出していたのです。

ちなみに、「特別調査役」というのは、第一生命の営業職員(セールスレディ)の呼称なのですが、なんとこの呼称は全国で彼女だけだったそうです。

いわば、彼女のためだけに作られた特別な呼称とも言えるわけで、それだけ彼女の存在がいかに社内で特別だったのかわかりますよね。

その彼女が、顧客に「自分にだけ使える高金利の特別な運用枠がある」と持ちかけたのです。

それも「年利回りが10%」という、常識では考えられない高利回り。(中には「30%」という報道もありました)

もちろん、それは彼女の嘘っぱちだったわけです。

この「好条件」を餌に、21名の顧客から「数百万円から2億8000万円まで総額19億円」を集めてきたのです。

しかも、本件はなんと10年間もの間、表面化しませんでした。
それが今回、発覚したわけです。

では、10年間も表に出なかった本件がなぜ、今回露見したのか、です。
それはこういう経緯でした。

母親の死亡保険金5,000万円を騙し取られたAさん

そのきっかけになったのが、被害者の女性Aさん。
母親の死亡保険金5,000万円をMに騙したられたのです。

そのAさんが「Mがカネを返してくれない」と、山口支社に相談を持ちかけたことが、本件が表面化した直接のきっかけでした。

Aさんと面識のある関係者が言う。

「生前、Mと契約していたAさんの母親が亡くなり、第一生命からAさんに5000万円の死亡保険金がおりた。すると、MがAさんのもとを訪ねてきて、『第一生命には自分のようなトップセールマンだけが持つことのできる特別枠口座があり、おカネを預ければ、利息が10%つく』ともちかけたのです。」

「『専用の現金輸送車でカネを運ぶ』『私に任せておけば大丈夫だから』と言葉巧みに説得し、最後は『これは長く契約してくれていたお母さんへの恩返しです』と母親の名前を持ち出して、5000万円を預かった」

「ところが、期日になってもAさんの口座に、利息の500万円が振り込まれることはなかった。」

「彼女が催促の連絡をしても、Mは『今から引き出さなきゃいけないから待ってよ』と応じず、詰め寄ると『お母様が(あなたを)本当にいいお嬢ちゃまに育ててねぇ』などとおだてたりしながら、話をはぐらかし続けた」(同・関係者)

 今年6月、業を煮やしたAさんが第一生命に連絡したことで事件が発覚。同社が顧客に向けて行った調査により、Mが10年以上前から、同様の行為に手を染めていたことが明らかになった。

WEBサイト「現代ビジネス」より抜粋

さて、Mは、いったいどういう経緯で、この事件を引き起こすに至ったのか。

実は、彼女は地元では知らない者がいないほどの有名人で、しかも市長でさえも一目置くほどの地元に影響力を持つ有力者だったのです。

次回は、Mがそこに至るまでの経緯に迫ります。

(次回記事、
前代未聞!第一生命「19億円詐欺」89歳セールスレディの素顔(中編)
〜市長も一目置く地元の有力者に犯人がのし上がるまでの軌跡〜

に続く)

参考動画:【保険営業】明らかになった「第一生命19億円詐欺」89歳セールスレディの意外な素顔とは

この記事を書いた人
大坪 勇二

1964年 長崎県生まれ

九州大学卒
コンテンツプロデューサー
「稼ぐプロを作るプロ」

大企業新日鉄の経理マンに飽き、ソニー生命の歩合営業マンに転身するも2年間ダメで貯金が底をつき、身重の妻と月11万円の住宅ローンを抱えて、手取り月収が1,655円とドン底の時にやる気スイッチオン。
6ヶ月間の「大量行動」で富裕層とのパイプが開け法人超大型契約で手取り月収が1,850万円に。現役11年間で累計323億円の金融商品を一人で販売。
その後、「社会の問題を、仕事のプロを育てることで解決する」をモットーに出版社を設立。現在に至る。障がい者福祉事業、複数の社団法人オーナーでもある。

著書に『手取り1655円が1850万円になった営業マンが明かす月収1万倍仕事術』(ダイヤモンド社)『月収1850万円を稼いだ勉強法 ~伝説の営業マンはどう学び何を実践したのか~』(祥伝社)などがある。

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