会社経営をしていると、心配事の種は尽きないものです。会社経営に限らず、人生自体がそうなのかもしれません。「オーウェル思考」という言葉をご存知でしょうか。オーウェル思考は、日々忙しく働き、ストレスを溜めこみがちな経営者にとって、ある意味では精神安定剤になるかもしれません。少しでもストレスを減らして、和やかな時間を過ごしてください。
オーウェル思考とは
『仕事が早く終わる人、いつまでも終わらない人の習慣』の著者で、コミュニケーションデザイナー・人財育成コンサルタント・上司向けコーチの吉田幸弘氏によると
仕事が早い人は「オーウェル思考」を持っています。
「オーウェル」を日本語で訳すと「まあいいか」になります。
たとえば、「集合場所には上司や先輩より前に来ていなければ」ではなく、「集合の5分前に来ていれば問題ないな」と許容範囲を広げます。
日頃から「まあいいか」と思うようにすると、イライラが減り、自分の仕事に集中できます。
参照:『仕事が早く終わる人の特徴、「オーウェル思考」とは何か?』(マネー現代 2019.08.28)
とあります。オーウェル思考とは、「まあいいか思考」ということです。
私たちは「無意味だろう」と疑問を感じながらも、ついつい商習慣や慣例にとらわれてしまい、柔軟さがなくなってしまったりします。コロナの影響でリモートワークが広まり、働き方の自由度は高まりました。リモートとリアルという選択肢ができたことで、柔軟な働き方ができるようになってきたと言えるでしょう。
コロナが明けたとしても、働き方は元に戻るのではなく、DXを始めとした改革が進められるはずです。オーウェル思考は、柔軟性という意味で働き方改革とも相性が良い思考です。その対極にあるのが、「べき思考」でしょう。
「べき思考」「ならない思考」を捨てよう
なんとなくルール化してしまっているものには、以下のようなことがあるそうです。
・集合場所には必ず上司や先輩より前に着いているべき
・部下や後輩から先に挨拶するべき
・上司に呼び出されたら30秒以内にかけつけるべき
・メールは2時間以内に返信すべき
・先輩が重いものを運んでいたら率先して手伝うべき
・提案資料はA43枚にまとめるべき
・電話は1コールでとるべき
・提出物は期限の2時間前に提出すべき
・相談がある時はいきなり声をかけるのではなく、先にメールでアポをとるべき
・夏でも長袖のシャツを着るべき
・冷房は26度に設定すべき
・お客様に出すのは緑茶にすべき
参照:『仕事が早く終わる人の特徴、「オーウェル思考」とは何か?』(マネー現代 2019.08.28)
なかには「そうした方が良いかも」という内容もありますが、ほとんどは謎のルールです。ビジネス書には、「~~でなくてはならない」という、「ならない思考」な文言も多くみられます。
しかし、会社経営は複雑で繊細なものですから、原理原則や成功の法則はあってないようなものです。先入観や固定概念である「べき思考」「ならない思考」を捨てて、自由で柔軟な心で経営や人に接したいものです。
心配事は杞憂に終わる
「べき思考」「ならない思考」にとらわれると、ストレスフルな毎日になってしまいそうです。自分にも他人にも厳しい完璧主義者は、なにかと損ですよね。マイルールが守られないと、自分にも相手にもすぐに怒ってしまうかもしれません。イライラしたしかめっ面では、チャンスも幸運も逃げてしまうでしょう。
心配事の多くは杞憂に終わり、ほとんど起こらないと言います。また、命を取られるわけでもないので、違法行為や不義理な行為はご法度ですが、それ以外なら何をやっても良いのです。
せっかくの人生ですから、オーウェル思考を意識して、苦難も楽しみながらさらりと乗り越えましょう。