「FIRE」という言葉をご存知でしょうか。FIREはアメリカで生まれた概念で、コロナショック以降、日本や他の国々でも話題になっているキーワードです。「経済的自立」「早期リタイア」を意味するFIREがなぜ今、注目されているのでしょうか。
FIRE(経済的自立・早期リタイア)とは
FIREとはアメリカで生まれた概念で、「Financial Independence Retire Early(経済的に自立した早期退職)」の略です。「F.I.R.E」と表記されることもあります。読み方は「ファイアー」で良いでしょう。「運用で稼げるようになったのでFIREする」「FIREを達成した」などと使われる言葉です。
このFIREで注目されているのが、「4%ルール」と呼ばれる目安です。FIRE=経済的自立=経済的自由を得たリタイア生活を実現できる目安とされています。
4%ルールとは、年間支出の25倍の資産を築けば、年利4%の運用益で資産を維持したまま生活費をまかなえるという考え方です。年に300万円使うとすれば7,500万円、400万円使うとすれば1億円の資産が必要になります。4%という数字の根拠は、アメリカのS&P500の成長率7%から、アメリカのインフレ率3%を差し引いたものとされています。
このFIRE的生活を実現するためには、まずは元手となる資金を貯める必要があります。そして元手資金を貯める時間を短縮するためにも、また早期リタイア・セミリタイア後にFIRE的生活を維持するためにも、若いうちから資産運用を始めて投資経験を積み、投資の目利き力を磨いておく必要があるでしょう。「投資や資産運用は早く始めた方が良い」とよく言われるのは、複利の力を使えたり、例え失敗してもまた立ち上がることができるからです。
なぜ今、FIREが話題になるのか
ではなぜ今、このFIREが話題になり注目されるのでしょうか。それは、以下の理由が挙げられます。
・コロナショックの影響で、働き方や生活スタイル、ひいては生き方や人生について考え直す機会があった。
・「根詰めてあくせく働かなくても、今の生活水準を維持できるのではないか」と考える人が増えた。
・先行きがますます見えにくくなったため、本当にやりたいことを早期に実現しようという意識が芽生えた。
新型コロナウイルスの感染拡大は、良くも悪くも世界中の人々の生活に影響を与えました。パンデミックが、人生について見つめ直す機会になったと言えます。パンデミックは世界中で同時に起こったため、アメリカや日本以外でもFIREに注目が集まりました。
経営者もFIREすることは可能か
FIREに強い関心を示す層は、20~30代の若い人に多いとされます。それだけ「仕事に熱を注げない人が増えた」と悲観的にみることもできますが、価値観は人それぞれ。致し方ないでしょう。
一方で、長年会社経営を続けてきた経営者のなかにも「実はそろそろ引退したい」と考える人が増えています。「生涯現役」といきたくても、経営環境が変ればそうもいかないのが現実です。
事業投資やM&Aに特化したメディア「事業投資オンラインZ-EN」のなかで、長年にわたり中小企業のM&Aにも関わってきた齋藤由紀夫氏は、「実は、会社を売却する本当の理由には『飽きた』という理由が多い」と言います。
中小企業経営者の会社売却理由が気になる方は、ぜひこちらもご覧ください。
会社を売却する社長の本音 飽きたら売ってもいいのでしょうか?|事業投資オンライン Z-EN
現実的な解決策として「飽きたら第三者に譲ってもいいのではないか」という選択肢が、不謹慎とは思いながらも有力となります。逆に、社長が飽きてしまったまま経営することのリスクは高く、経営意欲のなさは社員や関係者にも伝わり、徐々に経営が悪化する可能性も孕んでいます。
たとえ社長業に飽きたとしても、それなりの年数社長をしているということは、ある意味すごいことです。そのような社長は別のことをやってもうまく行く可能性は高いです。実際に会社を売却した後にその資金で、新規事業を立ち上げて成功したり、買手としてM&Aにチャレンジしたりする方の事例は沢山あります。
会社を売却する社長の本音 飽きたら売ってもいいのでしょうか?|事業投資オンライン Z-EN
FIREして悠々自適な生活も悪くありませんが、事業意欲旺盛な人であればすぐにそれも飽きてしまうでしょう。
事業や会社を売却することで中小企業経営者の方もFIREすることは可能ですが、人生100年時代と言われていますから、また何か新しいことを始めた方が良いのかもしれません。