スモールM&Aのフロー【中小M&A ガイドラインより】

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スモールM&A を進めるときには、さまざまな支援機関がスモールM&A の支援を行うことが多いです。その大まかな流れを知っておくことは、大切です。
 
この記事では、経済産業省中小企業庁が策定した「中小 M&Aガイドライン」で紹介してい内容をもとに、まとめます。
 
第三者事業承継を検討するときに、参考になりますように。

中小 M&A フロー

中小M&Aは、「中小企業の動き」に沿って進み、ステップごとに、さまざまな支援機関を活用することができます。

経済産業省中小企業庁 中小 M&Aガイドライン

事前準備

譲渡し側の経営者がM&Aを行うべきかどうかを、単独で判断するのは、容易ではありません。そのため、支援機関に相談しながら、準備を進めることが望ましいです。

支援機関への相談

まず、直近3年分の税務申告書・決算書(損益計算書・貸借対照表を 含む。)・勘定科目内訳明細書の写しを用意することで、相談がスムーズに進みます。

後継者不在であることの確認

親族内承継を実施しないことにつき身近な親族(特に子や兄弟)から了解を得ておくこと、社内に後継者候補がい ないこと(従業員承継が不可であること)を確認しておくことが必要です。この際、秘密保持の観点には注意が必要です。

引退後のビジョンや希望条件の検討

当面は譲り渡し側・譲り受け側の事業に関わり続けたいのか、別 の事業に進出したいのか、それとも社会貢献活動や余暇を楽しむといった全く別のこ とを行いたいのか等、引退後にどのような過ごし方を選択するかというビジョンを明確にしておくことが大切です。

また、希望条件についても、代金(譲渡対価)の金額や従業員の雇用継続は、譲り渡し側経営者として懸念することの多い重要な要素の1つですが、他にも検討することがあります。

中小 M&A に先立つ「見える化」「磨き上げ」(株式・事業用資産等の整理・集約)

一般的に、事業承継においては、経営状況・経営課題等の現状把握(見える化)と、 事業承継に向けた経営改善等(磨き上げ)が必要とされますが、中小 M&A の実行のためには、その中でも最低限、株式・事業用資産等の整理・集約が必要です。

・株式の整理・集約
・事業用資産等の整理・集約

意思決定

譲り受け側を見つけるために、仲介者・FA を選定するか、または、仲介者・FA を選定せず、工程の多くの部分を自ら行うかを決める必要があります。

仲介者・FA を選定する場合

仲介契約・FA 契約の締結

仲介者・FA の選定に当たっては、業務形態や業務範囲・内容、契約期間、報酬(手数料)体系、M&A 取引の実績(M&A に取り組んだ件数・年数等)、利用者の声等をホ ームページや担当者から確認した上で、複数の仲介者・FA の中から比較検討して決定することが重要です。加えて、いわゆる「相性」も重要な要素です。

仲介契約・FA 契約を締結する際は、中小 M&A に関する希望条件を明確に伝えつつ締結前に納得がいくまで十分な説明を受けることが必要であり、特に業務の具体 的な内容や報酬の妥当性等については、必要に応じて事業引継ぎ支援センターを含め、他の支援機関に意見を求めること(セカンド・オピニオン)も有効です。

仲介契約・FA 契約の主なポイント

・業務形態
・業務範囲・内容
・手数料の体系
・秘密保持
・専任条項
・テール条項(契約機関終了後の扱い)

仲介者・FA の比較
形態業務内容特徴活用するのに適するケース
仲介者譲り渡し側・ 譲り受け側 の双方と契約を締結す る。譲り渡し側・譲り受け側の双方の事業内容が分かるため、両当事者の意思疎通が容易となり、中小 M&A の実行に向けて円滑な手続が期待できる。●譲り渡し側が譲渡額の最大化だけを重視するのではなく、譲り受け側とのコミュニケーションを重視して円滑に手続を進めることを意図する場合
●譲り渡し側の事業規模が小さく、 支援機関に対して単独で手数料を支払うだけの余力が少ない が、できるだけ支援機関のフルサービスを受けたい場合
FA譲り渡し側・ 譲り受け側 の一方と契約を締結する。契約者の意向を踏まえ、契約者に 対し踏み込んだ助言・指導等まで行うことが多い。一方当事者のみ と契約を締結しており、契約者の利益に忠実な助言・ 指導等を期待しやすい。●譲り渡し側が譲渡額の最大化を特に重視し、厳格な入札方式(最 も有利な条件を示した入札者を譲り受け側とする方式)による譲り渡しを希望する場合(例えば、債務整理手続を要する債務超過企業の M&A の場合等)
●このような手続を実施するための費用負担能力がある場合(特に、規模が比較的大きい M&A の場合)

仲介者・FAを選定せず、工程の多くの部分を自ら行う場合

取引先や地域内の同業他社等を譲り受け側として自ら見つけるケースは、近年、 増加の傾向にあるとされます。
また、オンラインで、譲り渡し側と譲り受け側 のマッチングの場を提供するウェブサイトである M&A プラットフォームに登録することが、中小 M&A 実現の可能性を高めるという点で有効なケースもあります。

バリュエーション(企業価値評価・事業価値評価)

中小 M&A では、「簿価純資産法」、「時価純資産法」又は「類似会社比較法(マルチプル法)」といったバリュエーションの手法により算定した株式価値・事業価値を基に譲渡額を交渉するケースが多いですが、事例ごとに適切な方法は異なります。
算出された金額が必ずそのまま中小 M&A の譲渡額となるわけではなく、数年分の任意の利益(税引後利益又は経常利益等)を加算する場合等もあります。

譲り受け側の選定(マッチング)

マッチングを具体的に進めるに当たり、仲介者・FA は、通常、まず譲り渡し側を特定できない内容のノンネーム・シート(ティ―ザー)を、数十社程度にまで絞り込んだリスト(ロングリスト)内の企業に送付し打診する。その上で、関心を示した候補先から 譲り受け側となり得る数社程度をリスト(ショートリスト)化し、これらとの間で秘密保持 契約を締結した上で、その後の手続を進めることが通常です。
譲り渡し側は、マッチングを希望する候補先、あるいは打診を避けたい先があれば、 事前に仲介者・FA に伝えることが望ましいです。また、打診を行う優先順位について、仲 介者・FA との間で十分な話し合いを行ってください。

交渉

交渉の進め方は、譲り渡し側・譲り受け側の関係や事業の類似性、譲り渡し側・譲り受け側と仲介者・FA との関係度合等により、譲り渡し側・譲り受け側の経営者同士 の面談(トップ面談)の時期や方法も含め、様々な形態があります。

特に、トップ面談は、譲り受け側の経営理念・企業文化や経営者の人間性等を直 接確認するための場であり、その後の円滑な交渉のためにも重要な機会です。一方、自分の態度や表情も相手方に直接伝わりやすく、不用意な言動も信頼を損なうおそれがあるため誠意ある態度で真摯に面談に臨む必要があります。
また、譲り渡し側経営者は、譲り受け側経営者が譲り渡し側幹部役員等に対して高圧的な態度を取ることなく、譲り受け側役員・従業員と同等に接する姿勢を心掛けているか、確認しておくことも大切です。

基本合意の締結

当事者間の交渉により概ね条件合意に達した場合には、譲り渡し側と譲り受け側 との間で最終契約におけるスキーム(株式譲渡や事業譲渡といった手法)、デュー・ディリジェンス(DD)前の時点における譲渡対価の予定額や経営者その他の役員・従業員の処遇、最終契約締結までのスケジュールと双方の実施事項や遵守事項、条件 の最終調整方法等、主要な合意事項を盛り込んだ基本合意を締結します。

デュー・ディリジェンス(DD)

デュー・ディリジェンス(DD)は、主に譲り受け側が、譲り渡し側の財務・法務・ビジネス(事業)・税務等の実態について、FA や士業等専門家を活用して調査する工程で あり、譲渡対価の金額の精査や、判明した実態を踏まえて更に事業の改善を行うこと等の目的で行われます。

最終契約の締結

デュー・ディリジェンス(DD)で発見された点や基本合意で留保していた事項につい て再交渉を行い、最終的な契約を締結する工程です。

不安がある場合には、調印前に契約内容に関する意見を他の支援機関に求めること(セカンド・オピニオン)も有効です。

中小 M&A の実務においては、株式譲渡か事業譲渡の手法が選択されることが多いです。

【最終契約で取り決める主要な内容】
・・譲渡対象(何を譲渡するか)
・譲渡時期(いつ譲渡対象を譲渡するか)
・譲渡対価(代金をいくらにするか)
・支払時期・方法(譲渡対価をいつどのような方法で支払うか)
・経営者・役職員の処遇(経営者による引継ぎ期間や、従業員の雇用継続の努力義務等を設けてあるか)
・表明保証条項(双方が取引を実行する能力を有していることの確認等を含め、何を求められており、仮に違反した場合にどのような補償等を求められているか)
・クロージングの前提条件(クロージングまでに何を行う必要があるか)
・競業避止義務(譲渡後に競合する事業を行うことがどの程度禁止されているか)
・契約の解除事由(どのような場合に契約を解除できるか) 等

クロージング

中小 M&A の最終段階であり、株式等の譲渡や譲渡対価の支払を行います。特に譲り受け側から譲渡対価の全部又は一部が確実に入金されたことを確認することが必要です。

クロージング後(ポスト M&A)

クロージングを迎えた後も譲り渡し側経営者は、PMI(M&A 実行後における事業の統合に伴う作業)として、譲り受け側による円滑な引継ぎ等に向けて、誠実に対応する必要があります。

<共通>
・中小M&Aクロージングについての役員・従業員や取引先等に対する報告
・リース契約・賃貸借契約・金銭消費貸借契約等に関する名義変更・経営者保証 解除・(連帯)保証人変更・業務フローの引継ぎ・業務管理体制の構築 等


<株式譲渡の場合>
・代表者変更のための株主総会・取締役会や登記手続 等


<事業譲渡の場合>
・売掛金の振込先口座の変更
・クロージング後における売掛金の入金・買掛金の出金の清算
・給与体系・就業規則その他の人事労務関係の統一 等

この記事は、経済産業省中小企業庁が策定した「中小 M&Aガイドライン」で紹介している内容をまとめています。

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