持続化給付金の不正受給はなぜ起こった?

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コロナ不況の影響を受けた企業や個人事業主に対する支援策として話題になった持続化給付金ですが、最近は不正受給に関連するニュースが増えています。なぜ、持続化給付金の不正受給は起こったのでしょうか?

持続化給付金に不正受給が起こりやすい理由①

持続化給付金に不正受給が起こりやすい理由の1つは、「売上の数字が操作しやすい」ところにあると言えるでしょう。今説明したように、受給資格があるか、いくら受け取れるかのポイントになるのは、「対象月」の売上です。例えば、対象月の売上の計上を先送りするなどして縮小させれば、受給に有利になります。逆に、確定申告で昨年の売上を膨らませる、あるいはゼロだったのに売上を立てるというのも有効。両者の“合わせ技”で「満額」を受給する例も少なくないようです。

“やりやすい”が“見つかりやすい”「持続化給付金」の不正受給 その重いペナルティとは?|マネーイズム

「対象月」を調整すれば満額受給できてしまう仕組みですから、調整という名のもとに作為的に数字を改ざんしたケースが多そうですね。悪知恵は働くものです。

持続化給付金に不正受給が起こりやすい理由②

第2の理由は、「申請のやりやすさ」です。例えば、「雇用調整助成金」(厚生労働省)の申請には、最低9種類の書類(一部は添付文書が必要)の提出を求められ、社会保険労務士(社労士)などのサポートなしには困難です。しかし、持続化給付金は、確定申告書類(個人事業主)、事業概況説明書(法人)、売上の減少を証明する売上台帳、本人確認書類などを用意すれば、パソコン、スマホから簡単に申請することができるのです。「困っている人に、できるだけ速く」という考えから実行された申請の簡素化ですが、不正受給者にとっては、そこが“狙い目”になりました。

“やりやすい”が“見つかりやすい”「持続化給付金」の不正受給 その重いペナルティとは?|マネーイズム

パソコンやスマートフォンから気軽に申請できることも、不正受給の横行に貢献してしまったようです。士業のサポートなしに申請・受給できるというのも、良い面もありますがこういうときは問題ですね。

持続化給付金不正受給の手口

では、具体的にどんな不正が横行しているのでしょうか? 特にメディアをにぎわせているのは、学生やサラリーマンなど、受給資格のない人たちの悪事です。

7月には、卸売り事業を営み、昨年およそ120万円の収入があったという嘘の確定申告(虚偽の経費を計上し、所得税はゼロ)を行ったうえで、スマホを使って給付金を申請、6月に上限の100万円を振り込ませたとして、埼玉県の大学生が逮捕されました。多いのはこのパターンで、やはりコロナの影響で本来3月16日までだった確定申告の申告期限が延長されたことも“追い風”となりました。ちなみに、申請の「アドバイス」などを行って成功報酬を受け取る「指南役」の誘いに乗ったケースも多く、そのバックには“オレオレ詐欺”グループがいる、という指摘もあります。

また、この持続化給付金は、1回しか受給できません。にもかかわらず、法人の経営者が給付金を受け取った後に、フリーランスとして「二重申請」するようなケースがけっこうあるようです。

そもそもこの制度は「新型コロナで影響を受けた事業者を救済する」ために設けられたものですから、他の原因による減収を理由に申請するのは、NGです。例えば、今年6月、日本郵政グループの保険の営業社員などの不正受給が表面化しました。彼らは、保険の件数に応じて支給される営業手当を個人事業主として確定申告しているため、手続き上は、給付金の申請が可能でした。しかし、今年に入っての減収は、コロナの影響ではなく、保険商品などの不適切販売による営業自粛が主たる原因だったのです。

“やりやすい”が“見つかりやすい”「持続化給付金」の不正受給 その重いペナルティとは?|マネーイズム

不正受給のアドバイスをする指南役がいたというのも困った問題ですね。そんなことに知恵や労力を注ぐよりも、真面目に仕事をした方が良いと思いますが。

不正受給逮捕後に返還申し出が急増

新型コロナウイルスの経済対策の持続化給付金を不適切に受け取る事例が相次いでいる問題で、経済産業省は30日、返還の申し出が6千件以上あったと発表した。不正受給による逮捕報道を受けて申し出が急増しているという。

経産省によると、29日までに6028件の申し出があった。すでに751件で返還手続きが済んだ。金額は計7億9200万円にのぼる。規模が明らかになったのは初めてで、件数はさらに増えるとみられる。

申し出た人たちは返還理由について、誤って二重で申請した▽書類に間違った数字を入力した▽申請後に廃業したので給付金が不要になった、などと説明しているという。

持続化給付金、返還申し出6千件 不正受給逮捕後に急増|朝日新聞デジタル

不正受給による逮捕のニュースがさらに広まれば、返還の申し出も増えそうです。不正などの悪事をすると、やがては自分に還ってきますから真摯に生きる方が結果的には良いと思います。

この記事を書いた人
中島 宏明

2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主にフリーランスとして活動中。

2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から仮想通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。現在は、複数の会社の顧問・経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。

マイナビニュースでは、仮想通貨に関する記事を連載中。
https://news.mynavi.jp/series/cryptocurrency

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