「オンラインセミナー」「ウェビナー」「オンライン商談」など、訪問しない=訪問レスによる非接触型の営業手法が増えてきています。では、どのようにすれば訪問レス営業でも新規顧客獲得などの成果を得られるのでしょうか。
訪問しない訪問レス営業は「シナリオ作り」から
具体的にイメージできるように、企業向けSNSマーケティングツールの会社と仮定しましょう。ある日、マーケティング責任者からあなたに「顧客獲得につながるオンライン・セミナーを企画するように」との指示があった場合、あなたは何をすることから始めますか。
私はまず、目標を定め、ゴール達成のシナリオを描くことから始めることをお勧めします。具体的には以下の4つを考えます。
(1)ターゲット
(2)最終目標
(3)目標達成に至る全体シナリオ
(4)セミナーの達成目標
仮定した会社であれば、ターゲットとなる「SNSマーケティングの予算がある大手企業の担当者」が、「自社のツールを導入してくれること」が最終目標となるでしょう。
そこに至るシナリオとして、「自社商品(SNSマーケティングツール)を知ってもらう→ニーズをヒアリングして解決策を提案する→予算を取得してもらう→自社に発注してもらう」という流れを想定します。その流れの中でオンライン・セミナーでは、「自社のツールに興味あるターゲットに参加してもらい、詳細を説明して効果を認めてもらい、個別商談につなげる」ことをゴールとします。
訪問しない営業で成果を出す顧客獲得の新手法 新規開拓のためのオンラインセミナーのやり方|東洋経済オンライン
まずは、シナリオによって「仮説」をつくることが大切ですね。「オンラインセミナーが流行っているらしい。競合は、それで集客しているとか。それなら、当社でもやってみよう」という発想では、なかなか成果には結びつかないでしょう。
訪問しない訪問レス営業は「ターゲットを自分事化」させる
誰にどのような内容をどう届けるかが固まったら、次は、ターゲットに刺さる案内文の作成です。案内文に必要な条件は以下です。
(1)ターゲットが「これは自分に価値があるものだ」と反射的にわかる
(2)ターゲットが「これは受けるに値する」と判断できる
この際、何よりも大事なのはタイトルです。セミナー案内はFacebookなどのSNS、メーリングリスト、Peatix(ピーティックス)やEventRegist(イベントレジスト)のようなイベント管理ツールで目にする人が多いと思います。開催するオンライン・セミナーは、多くの流れていく情報のなか、たまたま運よく目に留めてもらう必要があるのです。
よってセミナーのタイトルやサムネイルは、見た瞬間に「あ、これは自分のためのものだ」と目を引くものでなければすぐに流されてしまいます。私はこれまで、400件ほどのセミナーを企画していますが、実際、広告も打たないのに次々と申し込みが入る「大ヒット」タイトルはそれほど多くはありません。いくつか実例を挙げると以下のようなものになります。
・Instagramマーケティング“即効”実践講座
・中の人に聞く、ハイプサイクルの本当の読み方
・価値創造とアート ~高収益企業の創業経営者にきく実践事例
・デザイン×経営の最先端
・ハーバード・デザイン大学院が教える最先端の事業創造メソッド
・起業のダークサイド
・ICO超入門
訪問しない営業で成果を出す顧客獲得の新手法 新規開拓のためのオンラインセミナーのやり方|東洋経済オンライン
ターゲットに関心を持ってもらい、オンラインセミナーの申込みにつなげるには、セミナーのタイトルに固有名詞を入れたり、オンラインセミナーに参加することで具体的にどんな情報・メリットが得られるのかを明記するなどの工夫が必要です。
「これは、自分のためのセミナーだ」と、ターゲットに認識してもらうことが大切になりますね。
訪問しない訪問レス営業は「数を集めても意味がない」
これまで述べてきたように、大事なのはビジネスの目的を達成できるかどうかであり、目的に即したターゲットでなければ、何人参加者がいても効果がありません。
しかし、当事者はそれを理解していても、上司が「とにかく人がたくさん来るセミナーにすべき」と考えていることが往々にしてあります。そういう考えの人からすると、小さく試行する始め方や、ターゲットに絞った企画は地味で効果が出ないように思えます。
最初にきちんとシナリオを説明することも重要ですが、結果が何より説得力を持ちます。成約という最終ゴールに向けたKPIを定め、きちんと成果が出ていることを見せられるようにしておきましょう。パフォーマンスを事実に基づき適時共有していくと、その辺の誤解も徐々に解けていくと思います。
順を追って考えていくと、初めてのオンライン・セミナーといっても、ある程度ビジネス経験のある人にとっては、なんら特別なものではありません。気軽にチャレンジして損はないと思います。
訪問しない営業で成果を出す顧客獲得の新手法 新規開拓のためのオンラインセミナーのやり方|東洋経済オンライン
はじめから大きな成果を生むことは稀ですから、数を多く集めることを目指すよりもまずは小さくスタートし、仮説を積み重ねてブラッシュアップしていくのが良いでしょう。議論ばかりしていても成果は出ませんし、かといって最初から大々的にお金をかけてオンラインセミナーを始めても、お金だけが出て行ってしまうかもしれません。