悪徳マルチ詐欺の勧誘もリモート化しているらしい

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コロナ禍で復活したM資金詐欺』でご紹介したように、コロナ禍に便乗した詐欺師たちが暗躍しています。それは、悪徳マルチたちも同様。さらにリモート化が進み、勧誘も進化しているようです。

悪徳マルチの勧誘もリモート化

会議やミーティングなどの業務はもちろん、飲み会や帰省といったプライベートのイベントもすべてが「リモート」で行われる今、なんと、「悪徳マルチ」の勧誘にも「リモート」がうまく取り入れられているという。

実際に、このコロナ禍で、リモートでの勧誘を体験した木島夏美さん(仮名・27歳)は、こう語る。

「私を勧誘してきたのは、大学時代に所属していたダンスサークルのYという先輩でした。同じサークルといっても、私はほぼ幽霊部員だったので、Y先輩との交流はほぼなかったんですけど…」

先輩から木島さんに連絡が来たのは、ちょうどゴールデンウィークも終わりかけのタイミングだった。

「アパレルブランドで販売員をしているのですが、当時、仕事はコロナの影響で休業していたし、外出自粛でどこにも行けない、誰にも会えないという状況で、とにかく気持ちが落ち込んでいました。そんなとき、先輩から急にSNSでメッセージがきて、『リモート飲み会をしようよ!』と誘われたんです」

さほど親しくない相手ではあったが、「まあリモート飲み会なら…」と、快諾してしまった木島さん。言われるがまま、数日後にその先輩とリモート飲み会を行ったという。そのときは、まだ悪徳マルチに関する話はされなかったそうだ。

「直接的な勧誘はされませんでしたが、今の給料や家賃、今後のライフプランなど、とにかく根掘り葉掘り聞かれましたね。正直に答えてしまった自分もバカだとは思いますが、コロナ禍で弱っていたときに、親身になって相談に乗ってもらえて、心を許してしまったんです」

こうして、木島さんのあらゆる情報を得た先輩は、次なる一手に出る。

「『直接会おうよ』と誘われました。そのときにはちゃんと『今やっているビジネスの話を聞いてほしい』と言われましたが、その言葉を聞いて確信しましたね。『やばい、これは絶対、マルチの勧誘だ。今までの会話は全部、マルチに勧誘するための情報収集だったんだ』と」

コロナで変わる詐欺集団、「悪徳マルチ」最新手口とは|ダイヤモンドオンライン

学生時代の浅いつながりの友人から…というのは、マルチの王道パターンですね。私だったら、「今やっているビジネスの話を聞いてほしい」と言われたら即縁を切ってしまいます…。

コロナ禍に不安を煽る悪徳マルチたち

しかし、木島さんの仕事がコロナで休業中だということは、リモート飲み会の時点で知られていた。そのため、多忙を理由に断ることもできず、渋々、先輩と2人で会うことになったのだ。

マルチ勧誘の常套手段に「ABC」と呼ばれるものがある。

「ABC」とは、勧誘される「C」(この場合は木島さん)と、Cに声をかける橋渡し役の「B」(この場合はY先輩)、そして、Bの上司にあたる「A」が同席し、Cを勧誘するという、悪徳マルチ勧誘のお決まりの手法だ。

木島さんは不審に思ったものの「ネットで調べたら、『ABCを行う場合、BはCに、あらかじめAが来ることを伝えないといけない』と書いてありました。ところが、そのとき先輩から、他の人が来るということは聞かされていなかったんです。だから、『これはABCじゃないし、マルチの勧誘じゃないかもしれない』と、ちょっと油断していたんですね」

だが、木島さんの期待を裏切るように、喫茶店に入店した直後、Y先輩による勧誘が始まった。数日前のリモート飲み会で木島さんの悩みや興味を聞き出していた先輩のプレゼンは非常に巧みで、木島さんは「もしかしたら本当に稼げるのかも…」と、心が揺らいでしまったという。

「私が興味を傾けていることを見抜かれたのでしょうね、『夏美に会ってほしい人がいるの。私もその人に感化されてこのビジネスを始めたんだけど、本当にすごい人。会えば分かるから!』と、畳み掛けてきました」

だが、こうした勧誘で、事前告知なしに第三者がやってきて勧誘を行うことは違法だ。そこで先輩が用いた手段が、「ビデオ通話」だったという。

「対面の勧誘はアウトでも、ビデオ通話ならセーフになるんですかね?本来は限りなく黒に近いグレーのような行為だとは思いますが、なにせ前例があるのかもよく分からないですからね。気付いたら、リモートによるABCが始まっていました」

こうして画面越しにAとなる勧誘役の女性が登場し、いよいよ逃げ切れなくなった木島さん。そのまま、先輩が持っていた書類にサインをし、入会してしまった。

「入会したのは6月の頭でした。入会後は、セミナーや勉強会、成績優秀者を表彰する会などに参加しました。オフラインで開催されていたイベントもあったけど、基本はオンラインの催しだけ参加していましたね。密になるのが怖いという気持ちもありましたし、なにより、流されるままに入会した自分には、先輩たちのようなマルチに注げる情熱がなかったので」

悪徳マルチをやっていることがバレれば、友人や、周囲の人間からの信頼を失ってしまう。それを理解していながら、木島さんはなぜ勧誘を断り切れなかったのか。

「入会してしまったときの自分を振り返ってみると、コロナのせいで給与が減り、将来への不安を感じていて、先輩の甘い誘いを信じてしまったんです。オンラインのセミナーや勉強会で話した範囲ですが、私と同時期に入会した人は、同じような境遇の人が多かったように思います」

木島さんのようにコロナ不況のあおりを受け、苦しんでいた人たちが、格好の獲物になってしまったというわけだ。

コロナで変わる詐欺集団、「悪徳マルチ」最新手口とは|ダイヤモンドオンライン

コロナショックによって収入が激減した人も多いでしょう。そんな弱みに漬けこんで不安を煽り、勧誘してくるのがマルチたちです。警戒心は常に持っておかないといけませんね。

参加者1000人の壮大なマルチ勧誘

実は先日、私もある投資案件の誘いを受けました。想定利回りや勧誘してきた友人の口ぶりから、「あ、怪しいやつだ」と思ったのですが、何事も勉強かなと思い、オンラインセミナーにだけ参加することにしました。

そのオンラインセミナーには、アクセス上限である1000名の参加者がいたそうです(本当かどうかは定かではありませんが)。

投資スキームの説明は冒頭の30分だけで、あとはマルチ的・ネットワークビジネス的な紹介制度の説明が大半でした。

そもそも、本当に良いスキームであれば、マルチ的・ネットワークビジネス的な紹介制度で広める必要もありません。イメージが悪くなるだけですから、私が運営元だったらそんな広め方はしません。すべてのマルチ・ネットワークビジネスが悪とまでは言いませんが、怪しい匂いのするビジネスが多いのは事実です。騙されないように、くれぐれも注意しましょう。

この記事を書いた人
中島 宏明

2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主にフリーランスとして活動中。

2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から仮想通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。現在は、複数の会社の顧問・経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。

マイナビニュースでは、仮想通貨に関する記事を連載中。
https://news.mynavi.jp/series/cryptocurrency

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