2016~2017年頃の仮想通貨ブームが落ち着き、やや低迷感のあった仮想通貨(暗号資産)ですが、コロナショック以後は一部の仮想通貨(暗号資産)が高騰を続けるなど再び注目が集まっています。NFTやDapps、DeFiなどのブロックチェーントレンドが生まれる一方、ブロックチェーンのアプリケーションのひとつである仮想通貨(暗号資産)の本質的な価値についても知る必要があるでしょう。
仮想通貨(暗号資産)は本来的には無価値?
仮想通貨(暗号資産)は、暗号技術を利用したデジタル通貨です。そのため、紙幣や硬貨のような実物はありません。そういう意味では、手に取ることすらもできませんから、価値を認めることは難しいでしょう。
仮想通貨(暗号資産)の代表格であるビットコインの最初の価値は、マイニング(認証作業)に必要な電気代から計算されました。2009年10月5日に、ニューリバティスタンダード(個人のハンドルネーム)によってビットコインと法定通貨の交換レートが世界で初めて提示され、このときの価格は、1ドル=1,309.03BTC。現在では、相対取引によって仮想通貨(暗号資産)の価格は決まっていますが、2009年当時はビットコインを知る人は世界でも少なく、一部の暗号技術者やIT愛好家しか知りませんでした。そのため、マイニングに必要な電気代が算出根拠になったのでしょう。
お金の価値は「共同幻想」でしかない
法定通貨も似たようなもので、実物としての価値は、紙幣であれば紙代と印刷代、硬貨であれば素材代と加工代がその価値と言えるのかもしれません。しかし、1万円は1万円として取引されます。法定通貨の場合、その国の法律によって定められていることで価値が保証されていると感じるところもあるでしょう。しかし、実態は思い込みです。
仮想通貨(暗号資産)にも法定通貨にも、本来的には価値はないのですが、みんなで価値があると思い込んでいることによって価値が生まれていると言えます。「生まれている」というより、お互いに価値を「確かめ合っている」という表現の方が正しいのかもしれません。
日本円の場合、日本国内であればどこでも使えます。クレジットカードや電子マネーを使えない店舗や場面はまだまだありますが、現金払いNGというところはほとんどないでしょう。現金払いNGのお店があるのは、スウェーデンなどのようなキャッシュレス先進国くらいだと思います。
日本に住んでいれば日本円で日々支払いをし、日本円で給与や収入を得て、日本円で保管(預金)し、日本円で納税しますので、日本国内での日本円の交換性はますます強くなります。それにより、「1万円には1万円の価値がある」という共同幻想も強化されます。
仮想通貨(暗号資産)は、仮想通貨(暗号資産)取引所などで行われる相対取引によってその価値を確認します。例えば、「1BTCと日本円の交換レートが今日は1BTC=600万円だな」という具合です。
相対取引といっても、一対一ではなく一対複数であることがほとんどですが、「相手が価値を認める」ことで取引が成立しています。つまり、相手が認めさえすれば仮想通貨(暗号資産)も価値はあるわけです。逆を言えば、相手が価値を認めなければ無価値ですし、その相手が世界中から誰もいなくなれば本当に無価値になってしまいます。
仮想通貨(暗号資産)の価値は誰がつくり、誰が上げていくのか?
仮想通貨(暗号資産)の価値をつくり出す、あるいは価値を上げていくのは、その仮想通貨(暗号資産)を保有するホルダーと、仮想通貨(暗号資産)の発行元や仮想通貨(暗号資産)取引所などの関連事業者たちです。
ビットコインの場合、明確な発行元はありませんし、開発当時は取引所もありませんでした。さらに、仮想通貨(暗号資産)という言葉すらありませんでした。ですので、ビットコインの価値を上げたのはホルダーたちだと言えます。ホルダーたちがビットコイン取引所をつくり、ビットコインを決済で使える仕組みをつくり、またその導入店舗や導入企業を増やしていきました。メディアへの露出やマーケティングも、ビットコインホルダー(ビットコインラバー、ビットコイナーなどとも呼ばれています)による取り組みと言えるでしょう。
同じように、仮想通貨(暗号資産)でモノを買える店舗や企業が増え、使える場面が増えれば、交換性が向上し、やがて価値も上昇するでしょう。あまりに価値変動が激しいと決済での利用はしにくいのですが。
仮想通貨(暗号資産)が今後普及するためには、仮想通貨(暗号資産)での実際の決済量と処理速度が極めて重要です。通貨の価値の構成要素は、「決済利用できる場所と場面の拡大」「手数料の安さ」「決済・送金スピードの速さ」が主なポイントになると思います。仮想通貨(暗号資産)の価値やステータスを上げたければ、その答えはシンプルで、ホルダー自らその価値や可能性を広めれば良いだけなのです。